富士通は、統合運用管理ソフトウェア「Systemwalker」に、アプリケーションの本番環境への適用を自動化する「Systemwalker IT Change Manager」を追加した。
このソフトは、アプリケーションの本番環境への移行にともなうシステムトラブルを防ぐとともに、運用管理者の移行作業を軽減するもので、本番環境へのアプリケーションの配布・適用を自動化するとともに、本番環境に適用されたアプリケーションが正しいことの証明、およびアプリケーションが正式に承認を経たものであるかを確認する機能を有する。
本番環境へのアプリケーションの配布・適用の自動化では、アプリケーションの実行環境が記述されているCMDB(Configuration Management Database:構成管理データベース)の情報から、適用するサーバを自動抽出し、アプリケーションごとに異なるファイルの置き換え、適用コマンド、圧縮ファイルの展開などの作業を自動で行う。
CMDBの情報は、各サーバにインストールされたエージェントが自動収集して、作成する。ファイル置き換えに伴うアプリケーションの終了、再起動といった作業はスクリプトを作成することで自動的に行うことができるという。
本番環境に適用されたアプリケーションの正しさの証明では、本来適用すべきアプリケーションと、実際本番に適用されたアプリケーションのFinger Printを比較することで、誤って古いバージョンのものを適用してしまうなどのトラブルを防ぐ。
正式に承認を経たものであるかは、アプリケーションの原本を適用結果や申請・承認の履歴とともに保存し、保存した情報と本番環境を自動比較することによって判断する。
「Systemwalker IT Change Manager」を開発した背景について、富士通 ミドルウェア事業本部 システムマネジメント・ミドルウェア事業部 事業部長 大西真吾氏は「最近はオープン化により分散化されたIT環境が、データセンターに集約しつつあり、一部はクラウドでの運用が始まっている。これにともない管理するサーバ台数が増大する一方、管理する人数は変わっていない。これまでもアプリケーションの変更作業に起因するトラブルが数多く報告されており、ビジネスインパクトにつながっている。従来のやり方は限界に近づいている」と述べた。
同社では、「Systemwalker IT Change Manager」によって、配布・適用される作業時間を平均約50%削減できると試算している。
実行環境は現在のところ、同社が提供する「Interstage」とマイクロソフトの「.NET」の2つとなっているが、今後はIBMの「WebSphere」やオラクルの「Oracle WebLogic」に対応する予定だという。
出荷開始は10月下旬を予定しており、価格はプロセッサライセンス(マネージャー用)が150万円から、プロセッサライセンス(エージェント用)が10万円からとなっている。