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Alex Faaborg氏がBrowsing Your Personal Webにおいて、Firefoxデザイン設計の根幹となる考えを説明するとともに、Firefox 3.7や4.0で登場することになるとみられるデザイン案とその背景を紹介している。Firefoxの新しいデザインがどのような考えに基づいて設計されているのかがわかる興味深い資料といえる。Alex Faaborg氏は冒頭で、この記事を書くのを数年待っていた、と述べている。
まず氏は、この領域には次の2つの基本的な操作方法があると紹介。
- Search (高速な操作でキーボードの利用が主。GoogleやQuicksilver、アドレスバーなど)
- Browse (マウスをベースにした操作で遅い。Yahoo!ディレクトリやDMOZ、Firefoxブックマークサイドバーなど)
さらに、ユーザインタフェースデザイナがインタフェースの差別化をするために使う2つの分類方法を紹介。
- Recall (再現。コマンドラインや検索のように、やるべき内容はユーザが覚えており、そこから積極的に自分で操作する)
- Recongnition (認知。GUIやブラウザベースのインタフェースのように、次にすべきことを見てから次の操作を決めるタイプのインタフェース)
ユーザインタフェースデザイナは通常、対象のインタフェースがどちらの分類を使った方が適切かを比較してデザインを設計するというが、Alex Faaborg氏はそれは意味がないと説明する。結局のところ、どちらに対しても優れたインタフェースを提供することが重要だという。次にSearch、Browse、Recall、Recongnitionといった分類を随所に取り上げながら、Firefox 4.0で実現を目指す新しいUIのデザイン例を説明している。説明されているUI例は次のとおり。
ホームタブからブックマークや履歴へ入る
ホームタブをクリックして表示されるページには、ブックマークと履歴データへ簡単にアクセスできるようにする。一瞥することでアクセスしたいサイトが判断できる。Recongnitionの利点に基づいている。
新規タブページには何も表示しない
ホームタブで表示されるページにブックマークや履歴データを表示すると、それに引きずられて本来したいと考えていた意思が曲げられる可能性がある。たとえばもう仕事を引き上げようと考えていたのに、新しいタブを開いてそこにいつも訪れているサイトが掲載されていれば、思わずクリックしてしまうかもしれない。こうしたことを排除するため、新しいタブにはなにも表示したい。ホームタブを導入することで、新規タブページには何も表示しなくてもいいようになっている。
ブックマークと履歴はコンテンツ領域に表示する
従来のブックマークと履歴はサイドバーや別ウィンドウなどで提供され、操作のUIはファイルシステムに対するUIと似ている。これをコンテンツ領域に表示することでBrowseの体験に統合することができる。コンテンツ領域にはブックマークや履歴のサムネールを表示する十分な領域があり、一見してユーザに理解を促すことができる。人間の色とイメージを記録する能力は驚異的なものがあり、こうしたUIは効果が高い。コンテンツ領域に描画することで、従来のサイドバーや別ウィンドウとも併用できるという利点もある。
コンテンツ領域はナビゲーションバーで操作できる
コンテンツ領域にブックマークや履歴を描画するということは、過去履歴の表示や操作内容のバックなどをナビゲーションバーで提供できることを意味している。さらなるBrowse体験との融合が可能になる。
こうしたUIの設計例を紹介しながら、最終的にはどの分類方法がよいというものではなく、RecallとRecognitionを融合させてシームレスにどちらの利点も使えるようにすればよいという意見が述べられている。たとえば最初からすべてBrowseするのではなく、覚えている途中まではSearchを使い、途中からBrowseに切り替えるといったようなもの。Awesome barから履歴やブックマークへの階層化されたショートカットアクセスを提供するといったのもそれにあたる。
Alex Faaborg氏はFirefox 3.0の左右非対象のナビゲーションボタンや、Firefox 3.5の新アイコンデザインの取りまとめをおこなった人物。多機能化したアドレスバー(Awesome Bar)やPlacesのデザインにも関与している。