米Microsoftは10月15日(現地時間)、傘下Dangerのサーバのトラブルから米国のSidekickユーザーのデータを失った問題について、データの大部分の救出に成功したことを明らかにした。データの検証と復元作業を経た上で、早急にサービスへデータを戻す段階に移行するとしている。この問題では一時データ復旧の可能性が「極めて低い」とされていたが、ユーザーのデータを完全消失するという最悪の事態をまぬがれた。
米T-Mobile USAが提供する多機能携帯電話Sidekickは、ユーザーのコンタクトやカレンダー、ToDo、写真などの情報をクラウドに保存・管理する仕組みになっている。そのクラウドサービスの運営は、端末を開発・提供するDangerが担っている。10日(同)にT-Mobileがサーバ障害によるSidekickユーザーのデータ消失を発表して以降、Microsoftは信用を回復するためにデータ復旧に努めてきた模様だ。13日(同)に公表された情報アップデートでは「ここ数日の復旧努力の結果、一部の消失コンテンツを回収できる可能性が見えてきた」だったのが、わずか2日で「機能停止の影響を受けたSidekickユーザーデータの大部分をリカバーできた」という報告にまで進展した。
最新の情報アップデートでは、トラブルの原因にも触れている。MicrosoftのコーポレートバイスプレジデントのRoz Ho氏によると、システム障害によってコア・データベースとバックアップのデータが消失し、サービス障害が起こった。その後、同社はシステムをコンポーネントごとに再構築しながらデータを復旧させた。「この慎重なプロセスには非常に長い時間が費やされたが、データの整合性を保つには不可欠な作業だった」とHo氏。今後はデータベース・バックアップの整合性維持を確実にするために、回復力のあるバックアップ・プロセスを導入すると約束している。
現在T-Mobile USAは、オンラインショップにSidekickシリーズを載せているものの、販売を一時的に停止している。今回のトラブルに対して同社はSidekickのデータサービス契約者に1カ月の無料データサービスを提供すると発表、また12日(同)にはデータを失ったユーザーに100ドル相当のクーポンを用意することを明らかにした。