IDC Japanは10月15日、国内企業を対象に実施した「国内オープンソースソフトウェア利用実態調査」の結果を発表した。同発表によると、国内企業3,939社に対する1次調査で、オープンソースソフトウェア(OSS)をすでに導入している企業は17.1%であることが明らかになった。
さらに、具体的に導入を検討している企業は7.1%、これから導入を検討していく企業は17.9%となっている。具体的に導入を検討している企業280社のうち47.1%が、昨年の金融危機以降の不況によるIT投資削減がOSSの導入検討の契機となったと回答している。
同調査では、「OSSをすでに導入している」、「導入を検討している企業」の計1,088社に対し、OSSの利用実態を聞いている。すでに実施済みのOSS導入プロジェクトでは、「Apacheを使用したWebサイトの開発」が23.5%と最も多く、これに「Linuxサーバーの新規導入」が22.3%で続いている。
一方、実施を検討しているプロジェクトでは「OSSのオフィスソフトウェアの導入」が20.5%と最も多く、これに「WindowsサーバーからLinuxサーバーへの移行」(19.2%)、「OSSの業務アプリケーション(CRM、ERM、グループウェアなど)の導入」(17.0%)と続く。これまでOSSの導入はLinuxから始まり、ApacheのようなWebサーバ、データベースやアプリケーションサーバでの利用が拡大してきたが、今後は業務アプリケーションの利用も高まっていくと、指摘されている。また、「Linuxデスクトップの導入」も16.1%と回答が多く、デスクトップ環境へのOSS導入機運が高まりつつあると、同社では見ている。
また、OSSを利用する際のメリットとデメリットについても調査が行われた。メリットは「導入コストを削減することができる」(46.4%)が最も多く、「運用コストを削減することができる」が37.5%で続いている。これより、企業がOSSに対し「導入から運用までのTCOを削減できる」という意識を持っていることの表れと分析されている。さらに、「ソフトウェアの選択肢が拡がり、自社に最適なものを探すことができる」が28.1%、「ベンダー依存から解放される」が25.8%で続いており、OSSの採用によりITの自由度が高まることにメリットを感じている企業も多くなっている。
一方、デメリットは「緊急時のサポート対応が迅速にできない」(34.2%)が最も多く、サポートの不安は依然としてOSSにおける最大の問題となっている。これに「バージョンアップなど将来のプロダクトが見えない」(28.5%)や「使用するOSSとそのコミュニティがいつまで存続するか分からない」(26.6%)が続いており、OSSの将来性に関する不安も挙がっている。