ITC(米国際貿易委員会:International Trade Commission)は、特許侵害をしたインクジェットプリンタ用互換インクカートリッジ、および特許が消尽していない再生インクカートリッジを同委員会の命令を無視して米国内で販売し続けたNinestarに対して約10億円(1,111万ドル)の制裁金を課した理由について発表した。

中国に本社を持つNinestarは、米国に関連会社としてNinestar USとTown Skyを置き、G&GおよびOA-100というブランド名で各社の互換インクカートリッジおよび再生カートリッジを販売しているメーカー。セイコーエプソンは2006年2月に、Ninestarを含む24社に対して、特定の互換カートリッジが特許権を侵害しているとしてITCに輸入の差し止めを求めており、その後Artech GmbHなど6社と和解し、残り18社に対してはオレゴン州連邦地裁で損害賠償請求を進めていた。

2007年10月には、ITCが特許侵害を認定する最終決定を下したことにより、特許侵害にあたるすべてのカートリッジの米国への輸入を禁止する統括的排除命令が出されたが、再生カートリッジに関しては、米国内で最初に販売された純正インクカートリッジの特許権の消尽を認めているため、それを使用した再生カートリッジの販売は可能となっていた。

ITCによれば、Ninestarは統括的排除命令が発行される直前に6カ月分のカートリッジの在庫確保を販売店に対してすすめて大量の注文を取ったが、実際の輸出は統括的排除命令発行後に行い、さらに特許権の消尽しているカートリッジを使用した再生品を販売したのは最初の3カ月のみで、その後は米国外で最初に販売された特許権の有効なカートリッジを使用した再生品を販売。これを意図的に命令を回避した行為と判断し、虚偽の尊守宣言書を提出していたこともあり巨額の制裁金を課したという。

またITCは、2009年4月17日にNinestarに対して約2,050万ドルの制裁金を勧告していたが、同社が3カ月間は違反しない再生カートリッジを販売していたことや米国憲法第8条で過重な罰金が禁止されていること、さらに今後の違反防止の効果に十分であるかを考慮して、最終的に1,111万ドルの制裁金に決定したとも述べている。なお、今回のITCの決定は第一審のものである。