ノークリサーチは10月14日、2009年の国内中堅・中小市場におけるERPの利用シェアと評価に関する調査結果を発表した。
同発表によると、国内中堅・中小企業(年商5億円以上~500億円未満)の民間ユーザー企業のERPの導入形態の比率は、パッケージが70.3%、独自開発システムが29.0%、ASP/SaaS形態のサービスが0.7%だという。
同社では、自社の要件を満たすにはパッケージでは不十分と考える企業があるとともに、要件内容次第ではパッケージよりも独自開発の方がコスト面でも有利になる場合があるといった背景から、独自開発システムからパッケージへ移行するスピードはやや鈍化しつつあると分析している。
一方、主要ERPベンダーがASP/SaaSへの参入を開始しているが、現時点で導入形態に占める割合は0.7%にとどまっており、自社運用と比較した場合の具体的なメリット訴求が求められるとしている。
現在導入済みのパッケージの利用シェアは、オービックビジネスコンサルタントの「奉行V ERP/奉行新ERP」が首位を堅持しつつ、1.4ポイントの増加となった。同製品の主要な対象市場である年商50億円未満でのシェアは横ばいだったが、年商50億円以上で1.7ポイントの増加となり、上位年商帯への進出進みつつある状況だという。
逆に、富士通の「GLOVIAシリーズ」は年商50億円以上でのシェアは変化がない一方、年商50億円未満では4.4ポイント増加と比較的大きな伸びを示しているという。
また同調査では、パッケージ利用予定シェア(新規導入または、今後も継続して利用する意向のあるパッケージ製品の社数ベースのシェア)についても調べている。
トップは現状のシェアと同様に「奉行V ERP/奉行新ERP」が首位だが、第2位のOBIC7exシリーズ、第3位のSAP ERP、第4位のSMILEシリーズ、第5位のGLOVIAシリーズの差はわずかとなっている。
利用シェアの上位5位のパッケージについては、ユーザーに5段階で評価してもらっている。トップは利用パッケージと同様、「奉行V ERP/奉行新ERP」となった。
同社では、年商50億円未満を主な市場とし、システム連携などが少ない「奉行V ERP/奉行新ERP」や「SMILEシリーズ」では満足度が相対的に高くなる傾向があると分析している。なお、オービック製品は開発元である同社がインテグレーションを100%自社で行うことがSAPやGLOVIAシリーズと比べて評価が高くなっている要因の1つと考えられるという。