10月7日、CEATEC JAPAN 2009においてヤフー 代表取締役社長 井上雅博氏によるキーノートスピーチが行われた。テーマは昨年に引き続き「Yahoo! Everywhere構想」。数年前から同社が事業戦略として掲げているものだが、最近の動きや新たに課題となってきたことなどを中心に、デモを交えた講演となった。
インターネットの現状とEverywhere構想
井上氏は始めに、ヤフーの事業戦略のひとつである「Everywhere化」について説明を行った。現在、PCの利用法は多くがインターネットの利用ともいえる状況になっているが、テレビ・カーナビなど様々なデバイスがインターネットに接続される機会も増えている。
PCのインターネット利用者を増やすことが難しくなっている中、事業を成長させるには様々な機器を通じてユーザーのセッション時間を増やすことがその手段となる。そのために、生活のいろいろな局面でネットを便利に使っていけるようにすることが、ヤフーが目指すところであると述べた。
ネット接続機能搭載のデバイスが増え、それらの機器で活用するアプリケーションが増えることが利用増加に結びつくという考えから、井上氏はこれを「両輪で進めていかなければならない」との認識を示した。
映像コンテンツ分野への取り組みを強化
今年、ヤフーでは動画配信サービス「GyaO!」に出資を行い、「Yahoo! 動画」と統合する形で事業の組み直しを行った。これには、現在まだテキスト・静止画中心のネットコンテンツを動画中心にしていくことで、「インターネットをより人に感動を与えるメディアにすると共に、"映像作品"を配信することで新しい価値を提供していきたい」(Gyao代表取締役社長 川邊健太郎氏)という考えがその根底にある。
また自社で動画配信を行うだけでなく、映像配信システム/課金・広告のマネタイズの仕組みを持つ強固なプラットフォームを開発し、それをコンテンツプロバイダやメディア企業に提供していく考えだ。
さらにテレビ局との連携にも力を入れ、放送直後の番組配信やショッピングなどとの連携、プラットフォームを提供しての局自身によるオンデマンド配信なども検討しているという。