帝国データバンクは10月8日、広告関連業者の倒産動向をまとめたレポートを発行した。
それによると、2009年1~9月における広告関連業者の倒産は201件。10~12月の3カ月を残して、2001年以降で最多だった2008年の206件にあと5件と迫っており、過去最悪となることが確実視されている。
広告関連業における2001年以降の倒産件数 |
倒産した201件を倒産態様別に見ると、最も多いのは「破産」で194件。以下、民事再生が6件、特別生産が1件、会社更生が0件となっている。
負債規模別では、「1億円未満」が142件、「1億円~5億円未満」が46件、「5億円~10億円未満」が7件、「10億円以上」は6件という結果。1億円未満が占める割合は70.6%に上っており、帝国データバンクでは「小規模業者の倒産が圧倒的に多いのがわかる」と補足している。ただし、2008年と比べると、1億円未満の割合は74.3%から3.7%減少。その分、10億円以上の構成比が1.0%から3.0%へと上昇している。これを受け、同社では、「比較的大型の倒産が徐々に増え始めているといえ、売上高数十億円クラスの企業の経営にも影響が出始めているようだ」と分析している。
業種別では、「広告代理業」が93件で46.3%を占める。以下、「広告制作業」が63件(31.3%)、「ディスプレイ業」が18件(9.0%)となっている。また、業種別の負債総額では広告制作業が147億5500万円(47.1%)で最も多く、次いで広告代理業が104億100万円(同33.2%)という結果。帝国データバンクによると、「負債額の大きい求人広告の制作業者の倒産が相次いだことが広告制作業全体の負債額を押し上げた」と言い、「現在の雇用環境の悪化が求人広告業者の経営を圧迫している現状がうかがわれる」と結論づけている。
業種別の倒産件数と負債総額 |
また、同社は今後の展望について、「これまでの恒久的な経済成長を前提とした手数料を収益基盤とする"広告代理"というビジネスモデルが転換点を迎えており、一部大手を除く中堅以下の広告代理業者の淘汰が今後も進んでいくものとみてよいだろう」との見方を示している。