SAPジャパン10月5日、EPM(Enterprise Performance Management)製品の最新版「SAP BusinessObjects Enterprise Performance Management 7.5」(以下、BusinessObjects EPM 7.5)を発表した。同製品は同社の統合アプリケーションプラットフォーム「SAP NetWeaver」とERP製品「SAP ERP」との統合が強化されている。

同社の製品は、企業の情報活用と経営管理を支援する「SAP BusinessObjects 」とビジネスとIT戦略の実行を支援する「SAP Business Suite」のどちらかの製品群に分類される。SAP BusinessObjects EPMは前者に属し、「戦略管理」、「予算・計画」、「連結決算」、「利益・コスト管理」、「支出分析」の機能を提供する。

SAPジャパン ビジネスユーザー&プラットフォーム事業本部 GRC/EPM事業開発部 部長 中西正氏

ビジネスユーザー&プラットフォーム事業本部GRC/EPM事業開発部部長を務める中西正氏は、「BusinessObjects EPM 7.0では、SAP BusinessObjects BIソリューションとSAP NetWeaverの統合が段階的に行われていたが、7.5では統合が強化されている。これにより、SAP ERP、SAP NetWeaver間のデータ連携を図ることが可能になり、当社製品間の"垂直統合"が実現されている」と説明した。

例えば、SAP NetWeaver Business Warehouseのドリルスルー機能を用いれば、BusinessObjects EPM 7.5の連結会計データのレポートから、SAP ERPの伝票明細まで遡って詳細なデータを分析することができる。

SAP BusinessObjects Enterprise Performance Managementの開発ロードマップ

BusinessObjects EPM 7.5は、次の6つの製品から構成されるが、Financial Information Management以外の製品は買収した企業の製品を改良したものだ。

  • Profitability&Cost Management
    →コストアロケーション機能と多次元での"What if"分析機能を用いて収益構造を可視化する。同バージョンから日本語版が登場した
  • Financial Consolidation
    →連結システム内で制度連結と管理連結を行う。
  • Planning&Consolidation
    →統合プラットフォーム上でデータ収集・処理・出力・分析を行い、事業計画の役割を担う。マイクロソフトのプラットフォームに対応したバージョンとNetWeaverに対応したバージョンが用意されている
  • Strategy Management
    →ビジネスゴールの決定・明確化・見直しを行い、戦略管理の役割を担う
  • Intercompany
    →会社間取引の当事者同士のコミュニケーションを実現する
  • Financial Information Management
    →ETLツールとして、SAP製品・非SAP製品への接続、マッピング、ロードを行い、情報統合の役割を担う

6製品の提供開始日は、Financial Information Managementが11月27日予定、Planning&Consolidationが2010年第2四半期、残り4製品が10月7日となっている。

SAP BusinessObjects Enterprise Performance Management 7.5の概要

SAPジャパン バイスプレジデント兼ビジネスユーザー&プラットフォーム事業本部副本部長 桐井健之氏

バイスプレジデント兼ビジネスユーザー&プラットフォーム事業本部副本部長を務める桐井健之氏からは、販売戦略について説明がなされた。販売ターゲットは、SAP Business Suiteを利用中・導入検討中の顧客に加えて、経営管理における課題解決を必要としているユーザーを想定しているという。「当社の既存の顧客にとどまることなく、"国際会計基準の適用に向けて連結経営管理のモデルを高度化したい"、"ビジネスの見える化のグローバル化を図りたい"といった企業も対象にしていきたい」

同氏によると、特に買収した海外子会社などは現地のやり方に任せているケースが多いなど、グローバルという観点で見た場合、企業における見える化は今のところ十分ではないという。

また同氏は、「パートナーとの協業は従来製品とは異なる戦略の下で行う」と説明した。例えば、これまでは製品に詳しいパートナーと協業を行っていたが、今回はEPM領域において実績豊富なパートナーと啓蒙活動から連携を図っていくほか、同社製品の活用ノウハウを有する専業パートナーとの連携を強化していく。