J.D.パワー アジア・パシフィックは10月5日、2009年日本ソリューションプロバイダー顧客満足度調査の結果を発表した。同調査は、情報システムの導入・構築や保守を請け負うソリューションプロバイダーに対する顧客満足度を調べるもの。
同調査は、「システムの提案・開発から運用開始後のサポートまでのシステム構築サービス」と、「サーバやメインフレームを中心としたハードウェア保守サービス」の2分野に分けて行われた。さらに、システム構築サービスは業員数1,000人以上の企業を対象とした大企業市場と、従業員数1,000人未満の企業を対象としたSMB(中堅・中小企業)市場の2つに分けて顧客満足度を測定した。
システム構築サービスの大企業市場のランキング対象の企業は富士通、日本アイ・ビー・エム、NECの3社で、富士通が第1位となった。総合満足度スコアは714ポイントで、「発注前の提案活動」「運用開始時対応」、「プロジェクトマネジメント」、「運用開始後サポート」、「コスト」の5つのファクターでトップの評価を得ている。第2位は日本IBMで、「設計開発力」および「導入・構築したシステム/サービス」の2つのファクターでトップとなった。
システム構築サービスのSMB市場では、ランキング対象の24社中、NECフィールディングが昨年に続き第1位となった。ファクター別では、「プロジェクトマネジメント」、「運用開始後サポート」、「導入・構築したシステム/サービス」、「コスト」の4つのファクターでトップの評価となった。第2位はNTT東日本(797ポイント)、第3位は富士ゼロックス(786ポイント)となった。
今回の調査では、昨秋からの景気後退の影響を受け、企業におけるIT投資意欲が大幅に低下し、また、既存システムの維持管理コスト削減を課題視する企業が増加している傾向が鮮明となったと、同社では分析している。
現在、SI/NIサービスを提供するソリューションプロバイダーに求められるのは、ただの値下げに陥らないよう、社内の運用体制の見直しや効率化を図りながら、既存の運用契約上の無駄を削減するような見直し提案の働きかけや、新たなソリューションによるTCO削減に向けたシステム変更提案といった積極的な仕掛けが必要だと、同社では提言している。
ハードウェアの保守サービスに関する総合満足度ランキングは、ランキング対象の28社中、富士ゼロックスが765ポイントで第1位となった。ファクター別の評価では、「トラブル対処後の対応」と「平時の対応」でトップの評価を得ている。第2位はNECフィールディング、第3位は富士通エフサスと東芝ITサービスとなった。
ハードウェアの保守サービスにおいても、保守委託金額が大きい層ほど、保守サービス料金といったコストへの満足度が昨年から低下している傾向が見られ、保守料金に対する負担感が強まっていることが推察されるという。