帝国データバンクは10月5日、新型インフルエンザに対する企業の動向に関する調査結果を発表した。同調査は9月16日~30日にかけて全国2万1,569の企業を対象に行ったもので、有効回答企業数は1万890社(回答率50.5%)。
新型インフルエンザの対策の実施の有無を問う質問に対し、73.0%(7,953社)が「実施した/している」と回答しており、7割以上の企業が何らかの新型インフルエンザ対策を実施していることがわかった。2009年春の時点では、1万890社中6,036社(55.4%)の企業が新型インフルエンザ対策を実施していた。
現在実施している具体的な新型インフルエンザ対策については、事業継続向けと従業員向けとに分けて尋ねている。事業継続に関する対策は、「マスクや手袋など衛生用品・食料の備蓄」が1万890社中4,999社(45.9%、複数回答)が最も多かった。次いで、「社員・職員に対する新型インフルエンザの教育・啓蒙」(39.3%、4,275社)、「新型インフルエンザ関連の情報収集・連絡体制の整備」(38.0%、4,137社)、「職場における感染予防・感染拡大防止策の策定」(37.5%、4,083社)と続き、いずれも3割以上の企業で実施している。「衛生用品・食料の備蓄」は今年春の感染時においても36.8%(4,008社)と最も多くの企業が実施していた。
従業員に向けた対策としては、7月以降は「手洗い用の消毒液等の設置」が51.7%(5,630社)と半数を超える企業で実施されていた。次いで、「咳エチケットの励行」(33.9%、3,689社)、「本人または家族が罹患したときの出勤制限」(30.3%、3,296社)、「マスクの着用」(29.6%、3,223社)が高かった。今年春時点と比べると、「消毒液等の設置」が32.9%(3,587社)から18.8ポイント増、「罹患したときの出勤制限」が16.3%(1,780社)から14.0ポイント増と、実施企業が大幅に拡大している。
自社の従業員が新型インフルエンザに罹患した場合、業績に影響があるかを尋ねたところ、「影響がある」と回答した企業は1万890社中6,134社(56.3%)となり、6割近くの企業が業績に影響が出てくると考えている。一方、「影響はない」は14.2%(1,547社)と1割強となった。業界別では、「サービス」が64.6%(969社)で最も多く、これに「運輸・倉庫」(64.5%、258社)、「小売」(61.0%、289社)が続き、いずれも6割を超えた。
具体的には、「お客様への訪問を控えざるを得ない」や「一人一車制を取っているので、インフルエンザにかかって休むと稼働が落ちる」といった、営業活動の停滞や稼働率の低下による売り上げ減少を懸念する声が多く挙がったという。
社会全体で新型インフルエンザの感染が拡大した場合、業績にどのような影響があるか尋ねたところ、「悪影響」と回答した企業は1万890社中6,045社(55.5%)となり過半数の企業が感染の拡大が自社の業績に悪影響を及ぼすと考えていることがわかった。また、「影響はない」が12.3%(1,339社)と1割超であった一方、「好影響」は1.2%(127社)にとどまった。
新型インフルエンザ対策を実施する際の最大の障害を尋ねたところ、1万890社中3,393社(31.2%)が「特に障害はない」と回答した。しかし、「人手・時間の不足」と回答した企業が22.6%(2,456社)と2割を超えているほか、「社内の認識不足」(10.8%、1,174社)も1割程度の企業が対策実施上の障害になると認識していた。また、「具体的に何をすべきか分からない」が17.5%(1,911社)と2割近くに達した。