グリーンIT推進協議会は、優れた省エネ効果を持つIT機器、ソフトウエア、サービス、ソリューションや、それらを活用して優れた省エネ効果を実現した提案等を表彰する「グリーンITアワード2009」の受賞企業を発表した。
「ITの省エネ」では、NTTデータとNTTファシリティーズの共同申請による『グリーンデータセンタサービス』が、「ITによる社会の省エネ」では、横河電機の『生産ラインにおけるエネルギー無駄ゼロへ導くIT活用』が経済産業大臣賞を受賞した。
NTT データとNTT ファシリティーズのグリーンデータセンタサービスは、省電力型・高付加価値データセンタサービスを提供する、高電圧直流給電システムの実証実験や、高効率空調・ラック設計、太陽光発電システムの導入、仮想化技術の導入など総合的な取組を実施し、従来のデータセンタビジネスに比べ約30%の消費電力削減を見込むというもの。
具体的には、モジュール設計の導入により工期の短縮化、空調機の最適配置、アイルキャッピングを用いて最適冷却方法を検討、高効率空調方式の実現、天井、二重床設計を用いて効率的な排熱とマシン室環境の実現、サーバ等への給電について200V電源統一化を目論見、エネルギー効率とコスト削減を追求、仮想化技術によるサーバ統合の実現。
受賞の理由をグリーンIT推進協議会では「直流給電技術から仮想化技術、冷却に至るまで、データセンターのグリーン化を総合的に取り組むことで、大規模なエネルギー削減に成功。他のデータセンターの手本となるべき技術をふんだんに取り込んでおり、評価に値する。特に、世界的に関心が集まっている直流給電技術を大々的に実装しており、これほど大規模な直流給電システムの実証実験例は少なく、世界的にも先進性・独創性を高く評価できる」としている。
一方、横河電機の「生産ラインにおけるエネルギー無駄ゼロへ導くIT活用」は、製造業の無駄削除をテーマとして生産ラインに踏み込み品質確保を前提としたCO2削減を実践する次世代FEMSを活用した取組み「生産計画と連携したエネルギーの無駄削減」活動。
具体的には、生産管理システムとの連携により多品種少量生産への切り替えに対応した エネルギー管理を実現、エネルギー使用量に応じて課金する仕組みにより全員参加型の省エネ活動を実施、省エネ活動の取組みを、2005 年度から「省エネ見学ツアー」として公開となっている。
協議会は評価ポイントを「地道な活動、ライン工程ごとのエネルギー使用量を個別に監視、あるいは日次の電力管理など工夫の積み重ねをたゆまず実施しているところは評価に値する。中長期での環境目標を設定、その実施状況を社外にも公表するなど、一連の活動は評価に値する。植樹にも対応し、地域住民との共生も実現している」としている。
なお、経済産業大臣賞以外の受賞企業は以下の通り。
【IT の省エネ】
賞の種類 | 受賞企業 | 受賞機器・ソリューション等 |
---|---|---|
経済産業大臣賞 | NTT データ、NTT ファシリティーズ | グリーンデータセンタRサービス |
経済産業省 商務情報政策局長賞 | アラクサラネットワークス | 通信ネットワークにおけるダイナミック省電力システム |
グリーンIT 推進協議会 会長賞 | 東芝 | 環境調和型PC のグローバル展開による地球温暖化防止への貢献 |
グリーンIT アワード2009 審査員特別賞 | 日立製作所 | 独自サーバ仮想化技術を利用したサーバ統合による消費電力削減技術 |
富士通 | 消費電力およびデータセンター全体の空調への負荷に配慮したブレードサーバシステム | |
日本AMD | 45nm SOI 液浸リソグラフィー技術による6 コア AMD Opteron. プロセッサ シリーズ |
【IT による社会の省エネ】
賞の種類 | 受賞企業 | 受賞機器・ソリューション等 |
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経済産業大臣賞 | 横河電機 | 生産ラインにおけるエネルギー無駄ゼロへ導くIT活用 |
経済産業省 商務情報政策局長賞 | 鈴与、富士通 | モーダルシフトシミュレーションによるCO2 削減提案活動 |
グリーンIT 推進協議会 会長賞 | 小島プレス工業 | ユーザー企業における「グリーンITによるCO2削減」活動 |
グリーンIT アワード2009 審査員特別賞 | NEC ビッグローブ | 家庭、地域におけるCO2排出量の見える化および削減支援サービス |
グリーン東大工学部プロジェクト | 東京大学工学部新2号館を対象としたITによる省エネ取組み | |
三井住友銀行、日本電気、沖電気工業 | 次世代型営業店システムCUTE を活用した金融機関におけるグリーンIT の推進 |