ITコアは10月1日、クラウド仮想化ホスティングサービス 「GrowServer2010」の提供を11月1日より開始すると発表した。同サービスの特徴は、サーバ・ストレージに加えて、I/Oの仮想化が導入されている点と低価格である点だ。
ITコアの代表取締役を務める山田敏博氏は、初めに同サービスの価格について説明した。同サービスの価格は以下の表のとおりで、月額1万円から利用可能だ。同社では5年前からホスティングサービスを行っているが、当時と比べて、10分の1にまで価格が下がっている。同氏によると、その理由は「CPU、メモリ、インフィニバンドといったハードウェアやソフトウェアの進化とボトルネックの解消」だという。また、従来のサービスで有料だったオプションサービスのファイアウォール、ロードバランサー、24時間監視、各種設定が、今回は基本サービスに含まれている。
また、同氏はAmazon EC2の価格と比較を行い、「月額で比べると、GrowServer2010が1万円であるのに対し、Amazon EC2は約6,480円と負けている。だが、EC2はトラフィックや固定IPなどについて従量制の料金を支払う必要があり、これらをトータルするとほぼ同等の価格と言える。さらに、GrowServer2010はEC2にはない監視やOS管理といった無料サービスを提供しており、これらを考慮すると、GrowServer2010のほうが安い」と、同サービスの価格における優位性を強調した。
同氏は次に、同サービスのシステム構成について説明した。サーバはハードウェアに日本ヒューレットパッカードの「HP ProLiant DL385G6」(CPUは6コア AMD Opteronプロセッサ)を採用し、ヴイエムウェアの仮想化プラットフォーム「VMware vSphere」で仮想化を行っている。vSphereのDRS(Distributed Resource Scheduler)によりリソースの自動最適配置を行い、また、HA(High Availability)機能を標準で装備して障害時も自動復旧を行う。
ディスクはデータコア・ソフトウェアの ストレージ仮想化ソフトウェア「SANmelody」と「SANsymphony」で仮想化が行われている。SANsymphonyの筐体間の同期ミラーリング機能によってストレージ側の無停止を可能にし、筐体間スナップショット機能と合わせてディスクの3重化を実現している。
I/Oの仮想化はシーゴシステムズのI/O仮想化コントローラ「VP780」によって実現され、サーバとストレージ間はInfinibandで接続される。VP780は、20Gbpsの広帯域I/Oを用い、オンラインで1サーバ当たり32ポートの仮想インタフェースを提供する。同社の代表取締役社長を務める尾方一成氏は、「Infinibandはリモートでサーバへの配置、配線作業が可能。そのため、データセンターに出向かずに作業が行え、配線も少ないのでラックの中が整頓される」と説明。また、同氏は「Infinibandは価格が高いと思われているがそんなことはない。10Gbps当たり2万円以下のI/Oと、コストパフォーマンスがよい」と、Infinibandのコストメリットをアピールした。
同サービスが利用するデータセンターは、山手線内のほぼ中心(東京都文京区)に位置するビットアイルの第4センターだ。山田氏は国内のデータセンターを採用した理由について、「セキュリティ上、国外に重要な基幹データを置くことに抵抗を感じるユーザー企業が少なくなく、テロなどの有事が発生した際、国内であれば即座に駆け付けて対応できるから」と述べた。