日本アイ・ビー・エムは9月30日、データウェアハウス(DWH)を最短で従来の15分の1に相当する12日間で構築することが可能なアプライアンス製品「IBM Smart Analytics System V.1.0」の出荷を開始したと発表した。
ソフトウェア事業 Information Management事業部長を務める下垣典弘氏は、国内の顧客のDWH/BIにおける課題として、「ビジネスの課題解決までに時間がかかりすぎること」、「導入するシステムの規模の予測が困難であること」、「導入後のシステム運用管理の煩雑さ」の3点を挙げ、これらの課題を解決するのが同製品と説明した。
同製品は、DWH構築に最適な形でチューニングおよび検証された、同社のサーバ・ストレージ・ソフトウェアから構成される。例えばDB2の場合、大規模システムで利用する場合にボトルネックになりそうな点をチューニングによって解消している。そのため、ユーザー企業はハードウェアおよびソフトウェアに対してさまざまなチューニングを行う必要がない。
「高可用性の設計とテストには時間がかかるが、これらは出荷時に当社の工場で済ませてしまうため、顧客はそのための手間と時間を省くことができる」(下垣氏)
IBM Smart Analytics System V.1.0のシステム構成
●分析用ソフトウェア(オプション)
・Congnos 8 Business Intelligence
・InfoSphere Warehouse Cubing Services
・InfoSphere Warehouse Text Analytics & Data Mining
●DWH用ソフトウェア
・InfoSphere Warehouse
・InfoSphere Warehouse Advanced Workload Management
・Tivoli System Automation
●ハードウェアとOS
・IBM Power 550
・IBM System Storage DS5300
・AIX 6.1
また、同製品はモジュール構成がとられているため、最小構成で利用をスタートし、システムの利用状況に応じてキャパシティや分析機能を拡張することができる。これは、BI/DWHの構築時に問題となっていた「システム規模の予測が困難」という課題の解決策となる。「DWHを導入する場合、ハードウェアとソフトウェアを購入する前に行っていたシステム規模の予測にかかる時間が長かった」と同氏。
同製品のこうした特徴から、通常DWHの構築には6ヵ月程度かかるところ、最短で12日間に抑えることが可能になる。導入期間を短縮できるのは、同社がこれまでDWHを構築する上で培ってきたノウハウによるところが大きいという。同氏は「ハードウェアとソフトウェアがパッケージ化されたSmart Analytics SystemによってDHWを構築すれば、導入後のアプリケーションの構築に注力することができる」と、同製品のメリットをアピールした。
同製品はハードディスクの容量に応じて、XSからXLまでの6つのクラスが用意されている。ディスクの容量は小さいほうから、4TB、12TB、25TB、50TB、100TB、200TB。価格は、ハードウェア・ソフトウェアに、基本導入、性能チューニング、高可用設計、総合テスト、初年度の保守サービスを含めて、2億3,000万円からとなっている。
販売については、年内は大企業を中心に提案していき、来年度からパートナーとの協業を拡大していく。