Adobe Systemsは「Adobe Scene7」の世界的展開を開始。日本を戦略的市場のひとつと位置づけ、リッチメディアプラットフォームを提供するAdobe Scene7の浸透を図る。すでに日本法人内に、営業組織とカスタマサポート担当の専任スタッフを配置。eコマースおよびマルチチャンネルマーケティング企業を主要ターゲットとして、Adobe Scene7の事業拡大に臨む。製品発表にあわせて、来日した同製品のマーケティングを担当する米アドビ システムズのシーラ・ダルグレン(Sheila Dahlgren)氏に話を聞いた。

Adobe Scene7の日本市場進出を発表するシーラ・ダルグレン氏

--Adobe Scene7を日本で発表し、日本のユーザーおよびパートナーからはどんな反応がありましたか。

今回の発表を、日本のユーザーおよびパートナー各社が、大変エキサイティングな出来事だと思っていただけたらうれしいと感じています。ユーザー企業は、このすばらしいエクスペリエンスによってビジネスを拡大することができ、パートナーにとってもAdobe Scene7のテクノロジーを使い、新たな価値を顧客に提供することができるからです。米国、欧州での事例からも、導入してから約1カ月という短期間に、コストが削減でき、時間が削減でき、生産性を上げるといった成果が出ています。社内でリッチメディアを手軽に構築できるわけですから、アウトソーシングのコストも削減できる。また、これを利用するエンドユーザーからも「cool!」といった声があがっていますから、その点でも企業の価値を高めることができる。エンドユーザーの評価が高まるということは、企業にとっては大変重要な要素です。こうした価値を日本の数多くの企業にも体験していただきたい。

--実際にどの程度のコスト削減ができるのですか。

Adobe Scene7を導入したユーザーからいくつかの数値が明らかになっています。コンバージョンレート(実際に会員になったり、購入した人の比率)が2倍になったという結果や、90%の売り上げ増加、返品率が10 - 30%減少したといった成果のほか、サイトへの滞在時間が大幅に増えた、サイトへコンテンツをアップする時間が60%短くなった、全体の80%のコンテンツを自身で管理できるようになった…といった成果も出ています。サイトを通じて、顧客満足度が12%も向上したという声があがっています。

Adobe Scene7の主要ターゲットとなるのは、eコマースの会社ですが、それ以外にも、間接的な販売を行っているマーケティング会社やメーカーなども、Adobe Scene7を活用することで成果が上がっている。多くの人たちが、製品を購入する前に、メーカーのサイトで製品の詳細を確認します。実際にある食品会社では、直販はしていないのですが、Adobe Scene7を利用することで、サイトへの滞在時間やログインする人の数が増加し、しかも、そうした効果を的確に測定できるようになり、パートナーを通じた売り上げ増加につながったとしています。

Scene7を使って構築されたeコマースサイト。左のサイトでは、好みのスカートをクリックすると、モデルがそれを身につけた画像が表示される。右は先行して導入したピーチジョンのサイト

--欧米のユーザーのなかには、技術ノウハウや知識を持たないユーザーが、これを利用することでもたらさせるメリットが出ている例もあるようですね。

そうですね。利用者の多くはクリエイティブ部門の人たちですが、ビジネスユーザーなどのデザイナー以外の人たち、また技術に精通していない人たちが、Adobe Scene7を利用してプラットフォームを構築するということが可能です。多くのユーザーが、直感的に使えるというのは、Adobe Scene7が目指したテーマです。また、数多くのチュートリアルを揃えていますから、安心して利用できる。実は、Adobe Scene7の開発チームには、コンシューマ向けのソフト開発をしていたメンバーが多い。その経験をもとにして、使いやすさを追求して開発しています。使いやすさの進化は、BtoBの領域でも大きな威力を発揮します。