実績豊富なストレージクラフト社
アズジェントは、米ストレージクラフト社が開発する「ShadowProtect」の国内販売代理店としてバックアップ市場でビジネスを展開している。ストレージクラフト社は1990年にユタ州で創業し、HDDに関する多数の技術を持つ企業だ。
とくにドライバやツールキットの開発に関して豊富なノウハウを有しており、ヒューレット・パッカードやマイクロソフト、インテルなどに技術提供を行っている。バックアップ分野に関しては、同社が開発したスナップショット技術のドライバ(Volume Snapshot Manager)が大手ベンダー各社のソリューションにおけるコア技術として採用されるなど、信頼性に対する評価は高い。
速さがウリ!!「ShadowProtect」
そのストレージクラフト社が自社のバックアップ製品として開発したのが「ShadowProtect」だ。
同社のビジネス開発部 シニアテクニカルエンジニア 水木威生氏によると、最近のエンタープライズ分野でのバックアップ市場では、「イメージバックアップ製品が数多く登場している」という流れがあるそうだ。これは従来主流であったファイル単位のバックアップに比べ、迅速かつ容易なバックアップ・リストア作業を実現できることがその背景にある。
そんな中でもShadowProtectは「とりわけコールドバックアップ・リストア時の性能が高い」という。この点について水木氏は、「USB2.0接続の外付けHDDをバックアップデバイスとして使用した場合は他社製品と比べて4倍、NAS(100Base-T)を使った場合でも2~3倍も高速」という同社実測値を示してくれた(4.64GBのOSやアプリケーションを含むデータのバックアップ・リカバリの所要時間)。
さらに同製品は「画面がシンプル」ということも特徴の一つとなっている。ソフトウェアの世界では、「多機能化」が製品開発の方向性となるケースも少なくないが、水木氏は「製品に求められる特性を踏まえると、本質は"シンプル"になる」とし、運用面での同製品の優位性を訴えている。
同社は直販を行っていないが、同製品はパートナーであるSIerからの評価も高く、「速い」「シンプル」「エラーが出にくい」といった声が多いそうだ。結果として、顧客に対して自信を持って同製品を提案することができているという。
なお、同製品のリカバリCDはWindows PE 2.0がベースとなっている。LinuxベースのリカバリCDが提供される製品もあるが、「デバイスの"認識力"ではWindows PEの方が高い」(水木氏)という。さらに利用時にはWindows Vista版とWindows Server 2003版の2つから、環境に応じていずれかを選択できるようになっている。Windows PEベースのリカバリCDが提供されている製品は他にもあるが、「2つの選択肢があるのはShadowProtectだけ。これにより、レガシーデバイスを含めたハードウェアへの幅広い対応を実現している」(水木氏)とのことだ。
仮想化への移行は「IT Edition」で
ShadowProtectはWindows環境を前提としたバックアップソリューションであり、製品は「Desktop Edition」「Server Edition」「Small Business Server Edition」「IT Edition」という4つのエディションで構成されている。最近は「P2V(物理環境から仮想環境への移行)ニーズが高まっている」(水木氏)そうだが、これは「移行時だけツールを活用したい」という利用形態が増えているということを示している。
ShadowProtectでは、このような要望には「IT Edition」で対応する。基本的にバックアップソフトはバックアップ元とバックアップ先が1対1という環境が前提のライセンス体系になっているものが多いが、IT Editionはバックアップ(移行)先のサーバ数に制限はない。このエディションは主にSIerのエンジニア向けに用意されたものであり、従来は1年間での契約のみであったが、仮想環境へのマイグレーションニーズの高まりを受けて、2009年からは「3ヵ月」という短期間の契約形態が追加されている。
エンタープライズ分野に注力
アズジェントはFC、SANといったストレージ分野での実績に加え、Gateway(とくにセキュリティ面)でのアドバンテージを持つ。同社はこの分野において、海外製品の販売代理店という枠組みを超え、自前で製品サポートを行えるほどの技術力を持っている。ShadowProtectに関しては、製品リリース前の段階から検証レベルで開発に参画し、主に日本語環境での機能面での差異についてストレージクラフト社にフィードバックを行っているそうだ。
同社は今後、エンタープライズ層に強い従来のビジネス基盤の強みを生かしながら、バックアップ分野でも貪欲にシェアの拡大を目指していくとのことだ。
主な製品
ShadowProtect
『出典:システム開発ジャーナル Vol.11(2009年9月発刊)』
本稿は原稿執筆時点での内容に基づいているため、現在の状況とは異なる場合があります。ご了承ください。
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