東芝は9月16日、年末商戦向けの薄型テレビ「REGZA(レグザ)シリーズ」の新製品として、5シリーズ25モデルを発表した。
その席上、東芝デジタルメディアネットワーク社(DM社)の大角正明社長は、2009年度の年間1,000万台の出荷計画がほぼ達成できる見通しであることを示すとともに、2010年度には、年間1,500万台の出荷計画を掲げることを明らかにした。
2010年度の全世界の液晶テレビ市場は1億5,100万台が見込まれており、同社が1,500万台規模の液晶テレビを出荷すれば、世界市場におけるシェアは10%に達することになる。また、ソニーやパナソニックは2009年度目標で1,500万台規模の出荷計画を掲げており、東芝はこれに1年遅れで到達。シャープの2009年度目標1,000万台と同等規模になる。東芝では、2010年度の1,500万台の目標のうち、新興国市場向けの出荷で約300万台を見込んでいる。現在の100 - 130万台の規模に比べて3倍近い規模に拡大させる考えだ。
大角DM社社長は、「2012年度までには新興国市場全体の成長率は173%だが、当社はこの市場において、494%の成長を目指し、全メーカーの伸張率を大きく上回ることになる。北米、欧州、日本の市場成長率に比べて、その他の地域は、新興国におけるブラウン管テレビからの置き換えが影響。2012年度までの年平均成長率は26%増となっており、市場全体の半分を占めるようになる。東芝がグローバル企業として拡大するには、戦略的にBRICs+ASEANといった新興国市場を攻める必要がある」とした。
新興国市場向けの製造拠点を、自社工場による展開のほか、現地パートナーおよびODMを含めた形で積極展開し、ロシアにも新たな生産拠点を設置する。
さらに、「こだわりのある地域最適化商品の投入」「グローバルデジタルプラットフォームの開発」「地域性を考慮した店頭施策の強化」「ブランドイメージ拡大のための広告強化」などに取り組む姿勢を示した。
地域最適化商品の投入としては、市場にあわせた製品価格を実現するコスト体質のほか、スポーツ観戦が盛んなブラジルでは動画性能に優れた製品や、インドのように多言語が使用されている国ではそれに対応したユーザーインタフェースの実現などに取り組むという。
また自社の半導体プラットフォームを利用したグローバル統一展開や、新興国における販売店数を、現在の約1万店から2012年度には3万店に拡大。新興国の売上高に対して5%の広告費を投下するという。
また、日本市場における取り組みについても言及した。
今年度上期は、エコポイント効果もあり、業界全体で前年比50%増前後で推移していたが、東芝はそれを上回る実績を記録。東芝は7月には165%増、8月は160%増となったほか、9月も170%増と、業界全体の50%増を大きく上回ると見ている。
東芝デジタルメディアネットワーク社 テレビ事業部日本部 岡田淳部長は、「大画面からパーソナルサイズまでの幅広いラインアップの拡充、超解像度技術や録画機能の搭載といった東芝ならではの商品力の強化、福山雅治氏を起用したプロモーションによる認知度向上、上期に発売した全機種において、環境性能5つ星を達成した低消費電力化によるエコニーズへの対応などの積極策が功を奏した」とした。
レグザの認知度向上では、2007年度上期には28%だったものが、2009年度上期には76%にまで上昇したという。
東芝では2009年度下期においても、引き続き旺盛な需要が続くとして、「下期通期で150%、エコポイントの終了が予定されている3月には駆け込み需要によって、場合によっては前年比200%も見込まれる」などとした。さらに、ハードディスク録画対応モデルの構成比が上昇するとみており、2009年度下期には市場全体の26%となる190万台、2010年度上期には50%となる270万台にまで拡大するとした。
こうした動きを捉えて、東芝が発表した年末商戦向け新製品では、新たに投入したRシリーズをはじめ、新機種25モデル中、21モデルを録画対応モデルとした。「2009年度下期も福山雅治氏をプロモーションに起用するが、"記憶するレグザ"をコミュニケーションワードとして、レグザの録画機能をアピールする」としている。
一方、同社では、今年度第3四半期(10 - 12月)に、CELLレクザを発売する計画を明らかにした。レグザのトップエンドモデルに位置づけられる製品で、ブレイステーション3に搭載しているCELLを採用しており、「レグザを超える究極のテレビになる」とした。
なお、具体的な仕様などについては10月に発表されることになり、価格については「かなり高い」(大角DM社社長)とした。