電気通信事業者協会(TCA)と日本レコード協会は16日、深刻化する違法な携帯電話向け音楽配信に対する実効性のある対策を検討するため、携帯電話事業者、音楽権利者なども参加する『違法音楽配信対策協議会』を設立したと発表した。

日本レコード協会によると、国内の音楽配信市場は年々拡大傾向にあり、2008年には約905億円の規模に達した。その約9割が携帯電話向けの「着うた」「着うたフル」などの配信によるものとなっている。一方、「青少年を中心に、違法な携帯電話向け音楽配信の利用が蔓延しているのが実態」(同協会)で、正規の着うた・着うたフルを上回る年間約4億の違法な音楽ファイルがダウンロードされているという(2008年日本レコード協会調査)。

音楽権利者は、違法な音楽ファイルの削除要請、悪質な行為者に対する法的措置、啓発・教育活動などの取組みを行い、携帯電話事業者でも、フィルタリングの普及啓発の取組みを進めるなどの取組みを実施してきた。だが、「諸々の課題により十分な効果が得られているとはいえない」(TCA、日本レコード協会)のが現状となっている。

総務省では、こうした状況を改善するため、同省の「利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会」に「違法音楽配信対策WG」を設置、同WGでの検討結果を同研究会の「第一次提言」として公表した。

今回設立された「違法音楽配信対策協議会」は、この提言を受け、実効性の高い対策の具体的な検討を民間レベルで進めることを目的に設立された。慶應義塾大学准教授の菊池尚人氏が会長となり、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル、イー・モバイル、ウィルコムなどの携帯・PHS事業者や、日本音楽著作権協会(JASRAC)や日本音楽事業者協会などの権利者、エムティーアイやドワンゴなど音楽配信事業者などが参加している。

具体的な検討事項としては、新たな技術的対策の提案を叩き台とした対策の検討や、技術検証の実施、青少年の規範意識向上に向けた施策の検討を行うとしている。

今後同協議会では、2009年中を目途に、「新たな対策の方向性について関係者の合意を得ることを目指す」としている。