日本HP 執行役員 ESSトランスフォーメーション担当 統括本部長兼マーケティング本部長 松本芳武氏

日本ヒューレット・パッカードは9月15日、HP ProLiantサーバ向けSolaris 10のサブスクリプション、テクニカルサポート、および関連サービスの販売を開始すると発表した。

今回の発表は、今年2月に締結された米Sun Microsystemsと米HPの契約に基づくもの。同契約は、HPのx86サーバ製品ラインであるHP ProLiantの主要OSの1つにSolarisを位置づけ、HPが同OSの販売/サポートを行うほか、SunがHP ProLiantサーバおよびHP BladeSystemを販売し、ソフトウェアに関する技術サポートを提供するといった内容で、複数年にわたりワールドワイドで展開することになっている。

今後、日本HPがSolaris関連で実施する施策としては次の5項目が挙げられた。

  1. Solaris 10のサブスクリプション販売とテクニカルサポートを提供
  2. Solaris関連サービスをWindows/Linuxと同等レベルで提供
  3. HPのサーバ/ストレージ製品でSolarisの動作を保証
  4. 運用管理製品のSolaris環境対応
  5. Solaris SIパートナーとの協業

これらのうち特に強調されたのが、1つ目のサブスクリプション/テクニカルサポート販売と、2つ目の関連サービスの提供だ。

1つ目に関しては、テクニカルサポート付きのサブスクリプションを以下の価格で販売する。

条件 価格(1年間)
サーバーソケット数が1~2 標準時間のソフトウェアテクニカルサポート 13万6080円
24時間のソフトウェアテクニカルサポート 17万100円
サーバーソケット数が3~8 標準時間のソフトウェアテクニカルサポート 24万9480円
24時間のソフトウェアテクニカルサポート 31万2480円

なお、テクニカルサポートに関しては、ワンストップのサービスをHPが展開。1次対応のみならず2次対応もHPで行うとし、「ユーザーは障害が起きた際に、OSの問題かハードウェアの問題かを判別する必要がなく、HPに問い合わせをするだけでよい」(日本HP 執行役員 テクノロジーサービス統括本部 統括本部長 津村伸武氏)という。Sunへのエスカレーションが必要な場合もHP側で依頼するため、ユーザーにとって障害対応の簡略化/迅速化が図れるというメリットがある。

テクニカルサポートの概要

一方、2つ目のSolaris関連サービスについては、Solaris搭載のHP ProLiantサーバ導入時に必要な作業を一括して請け負う「Soralis スタートアップサービス」や、導入作業に加えてHP ProLiant向け管理ソフトウェア(integrated Lights-Out、System Management Homepage、Array Configuration Utilityなど)のオリエンテーションまでを行う「HP ProLiant Solaris サーバ導入サービス」を提供する予定。

Soralis スタートアップサービスと、HP ProLiant Solaris サーバ導入サービスの概要と価格

日本HP 執行役員 テクノロジーサービス統括本部 統括本部長 津村伸武氏

それらに加えて、以前からOSを問わず提供してきた構築支援サービスも「Solaris環境への対応を強化する」(津村氏)かたちで、Solaris関連サービスの一部として展開する。

具体的には、JBossやPostgreSQLといったミドルウェアからテストツールまでITシステムの開発/運用に関連するあらゆるOSSへの問合せに答える「オープンソース・エキスパート・サービス」や、Javaアプリケーションの性能問題の解決を支援する「Java Webシステムのパフォーマンスチューニングサービス」、Javaアプリケーションのパフォーマンスデータを分析する「Javaパフォーマンス分析サービス」、Solaris搭載x86サーバ上でのアプリケーション開発で発生する問題の解決を支援する「x86 Solaris開発支援サービス」、WebLogic Server、JBoss Enterprise Application Platform、JBoss jBPMでのアプリケーション開発で発生する問題の解決を支援する「アプリケーションサーバ開発支援」といったサービスが用意されている。

日本HP 執行役員 ESSトランスフォーメーション担当 統括本部長兼マーケティング本部長の松本芳武氏は、一連のサービスの意義について、「HP-UXが大規模システムのバックエンドで利用されることが多いのに対して、Solarisは1Uや2Uのエッジサーバで圧倒的な利用実績がある。今回のソリューションはそちらのユーザーに対して新たな選択肢を提供する」と説明。そのうえで、「特にHP ProLiantの運用管理ソフトウェアが利用できるようになるメリットは大きく、一般的な製品に比べ数倍のTCO削減が見込める」と、新ソリューションの優位点を強調した。

なお、日本HPでは、今回のアナウンスに併せて、Solaris on x86の活用を推進し、市場へのプロモーションを行う国内コミュニティ「Solaris Community for Business」に2009年9月1日付けで加盟したことも発表している。