米SanDiskの日本法人であるサンディスクは9月15日、最大16GBのメモリースティック マイクロ(M2)製品ならびに、読み込み速度および書き込み速度で90MBpsを実現した最大64GBのコンパクトフラッシュ(CF)「Extreme Pro」をそれぞれ発表、販売店や代理店を交えた説明会を実施した。
開発から小売まで手がけるメモリメーカー
同会の席上、同社日本法人であるサンディスクの代表取締役社長で、SanDiskのSenior Vice Presidentである小池淳義氏が同社の現状、ならびに日本市場に向けた施策などの説明を行った。
SanDiskの特長は、各種のメモリカードの開発、設計、製造から、組み立て、販売まですべて自社内にて行っている点。製造は東芝との合弁会社である「フラッシュパートナーズ」および「フラッシュアライアンス」が設立した三重県の四日市工場などで行っている。日本には開発、製造を主に担当するエンジニアが約250名在籍しているとのことで、彼らは米国の約1,000名のエンジニアと連携し、新製品、新技術の開発を進めており、フラッシュメモリのみならず、フラッシュメモリ用のコントローラなども自社で設計している。日本でメモリの製造しているということについて、小池氏は「パッケージングは上海の工場で行っているため、Made in Chinaと刻印されているが、個人的にはシャープがLCD製造で世界の亀山モデルとうたったように、"世界の四日市モデル"とフラッシュメモリの世界で認知させたい」(同)とする。
NAND型フラッシュメモリの市場は、容量の拡大に伴い、デジタルカメラや携帯電話のみならず、SSDなどへとその適用分野を広げてきた。こうした状況に対し、小池氏は「半導体市場においてCPUやDRAMはもはや成熟産業に達したと言われるが、(NAND型)フラッシュメモリはこれから成長する分野」と説明する。
その背景はこうだ。フラッシュメモリの容量や書き込み/読み込み速度の進化により、デジタル家電など、これまであまりフラッシュメモリとなじみの薄い分野でも適用分野が広がることとなる。「特に大容量化で、フラッシュメモリはその真価を発揮する」(同)であり、大容量化によりフラッシュメモリにさらなる進化が引き起こされ、それによってデジタル機器も進化、巡って消費者のデジタルライフも進化するというサイクルが生み出されることとなる。「このサイクルを構築することで、フラッシュメモリの市場はより大きくなっていく」(同)とする。
こうした市場の形成に向け、同社が取り組む分野は、コンシューマ向けには以下の3つのカテゴリとなる。
- イメージング(デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ)
- ゲーミング(ゲーム用記録媒体)
- モバイル(携帯電話、携帯機器)
また、法人向けOEMとして組み込み用途の内蔵フラッシュメモリのほか、SSDなどを手がける。このSSDは、ノートPC向けに「G3 SSD」の提供を行っているほか、ネットブック向けのモジュールとして「pSSD」の提供を行っており、pSSDについては「日本のPCメーカーと(搭載に向けた)協議を進めている」(同)としており、HDDと比べた際の優位性を打ち出すことで、「データストレージ市場に3~4年で食い込んでいきたい」(同)とする。
いかにブランド力の強化を行うのか
では、日本市場でどうやってこうした強みを発揮していくのか。すでに同社の日本市場でのシェアは高くトップクラスを有する状態にある。しかし、それでも「ブランド力の強化が必要」と小池氏は語る。
これまで、同社の日本法人は3つの役割を社内で担ってきた。1つはフラッシュメモリの開発と生産、2つ目は同社の未来の製品ビジョンの構築、3つ目は日本での同社製品の販売であり、2つ目に関しては、日本のユーザの製品を見る目は厳しく、かつ日本がデジタル機器の先端を行く地域であることから、日本で認められれば、という思いがあるという。そのためのブランド力強化となるわけだが、基本は「販売店との連携強化による消費者へのアピールを行っていく」(同)ほか、「組み込みといった市場にも注力して行き、存在感を高めたい」(同)とする。
その第一弾として、ナショナル・ジオグラフィック・チャンネルと共同で「地球を記録に残したい」を仮テーマにした販売促進キャンペーンを年末商戦向けに計画しているほか、PSP goの11月1日の販売にあわせる形で、ゲーム分野に向けたアピールをしていくとする。
ナショナル・ジオグラフィック・チャンネルとの共同プロモーションを展開するほか、ゲーム分野に向けたプロモーションを展開していく(特にゲーム分野については、将来の需要が見込める分野としており、注力していくとする) |
なお、同社ではフラッシュメモリの容量増大は今後も半導体プロセスの微細化により進展していくとしており、ゲーム分野やSSDといった分野での存在感を出していくことで、「SanDiskという企業が何をやっている会社なのかを知らしめる」(同)ことを徹底して実施していくことで、ブランド力を高めていきたいとしている。