米Googleは9月14日(現地時間)、新サービス『Google Fast Flip』を公開した。Web上で公開されている新聞や雑誌記事を画像イメージの形で流し読みできるサービスで、タイトルとリードのみが表示されるGoogle Newsの発展版ともいえる存在だ。また各記事の見出しには広告が表示され、ここでの利益は各サイトを運営する新聞社や出版社に還元される仕組みとなっている。

Google Fast Flip

Google Newsや検索キャッシュについては、「コンテンツにただ乗りすることで利益を得ている」とたびたび批判の矢面に立たされているGoogleだが、一方でこうしたコンテンツ事業者らと共存する方法を同社では模索しており、Google Fast Flipはその回答の1つとなるだろう。コンテンツ事業者はGoogleを批判する一方で、同検索エンジンのリンクから誘導されて多くのページビューを稼いでいるのが現状であり、ある意味で共存が必要な関係にある。だがGoogle Newsにはいくつかの問題点があり、その1つは記事が増えると全体の閲覧性が落ちること、内容の確認にリンクをクリックしても目的のサイトが低速でなかなか開かないこと、Google Newsから利益を生成する仕組みが皆無なうえ、同サービスへの広告貼り付けはコンテンツ事業者のメリットにならないことが挙げられる。

Fast Flipのトップ画面は新聞紙面や雑誌の流し読みをイメージした構成になっている。セクションごとにいくつか記事イメージが並んでおり、スクロールで流し読みが可能だ。記事はWebサイトに表示される情報を画像イメージとして取り込んでおり、これをGoogleが自社サーバにキャッシュしておくことでユーザーは直接各サイトにアクセスするよりも高速に情報へとアクセスできる。各サイトは1画面分のスクリーンショットだけが用意されているので、もし記事全体を読みたければ各サイトへとジャンプする必要がある。あくまで流し読みのためのサービスだ。また各記事の横にはバナー広告が表示され、ここでの利益は各サイトの運営者に還元される仕組みとなっている。Google Newsでの課題をクリアすべく開発されたのがFast Flipだといえる。

またPCサイト版だけでなく、モバイル版のFast Flipも用意されている。対応プラットフォームはiPhone / iPod touchまたはAndroidで、PC版と同じ「http://fastflip.googlelabs.com/」のサイトにアクセスすることでモバイル版専用のページが出現する。専用アプリとは異なる通常のWebサービスだが、ページの切り替えなどは画面を指で弾くフリック動作などが利用できる。画像ファイルの圧縮率やサイズも縮小されており、携帯ネットワークのような低速回線でもストレスなく利用可能だ。ただ拡大縮小など、若干操作にわずらわしさを感じる部分もある。

モバイル版Fast Flipのサンプル画面

マイクロペイメントによる有料課金コンテンツの料金徴収代行提案など、新聞・出版業界へ歩み寄りを見せる最近のGoogleだが、こうした新しい提案の数々はコンテンツ業界にとっての救世主となるのだろうか。