NECとカシオ計算機、日立製作所の3社は、2010年4月にNECの携帯電話端末事業と、カシオと日立が2004年に共同出資し設立した携帯電話端末事業会社「カシオ日立モバイルコミュニケーションズ(CHMC)」とを統合し、合弁事業として運営していくことで合意したことを発表した。
これまで、NECはW-CDMAやLTEなどの携帯電話端末の無線通信技術やLinuxプラットフォームなどの開発力、低消費電力技術、薄型化技術などをコアコンピタンスに、NTTドコモやソフトバンクモバイル向けの携帯電話端末の開発、製造を行ってきた。
一方のCHMCは、カシオ計算機がデジタルカメラで培った画像処理技術や腕時計などで培った防水・耐衝撃技術と、日立の映像処理技術を組み合わせ、CDMA技術を中心とした携帯電話端末をKDDIやソフトバンクモバイル、韓国LGテレコム、米Verizon Wireless向けに提供している。
合弁会社として設立される新会社「NECカシオ モバイルコミュニケーションズ株式会社」は、NECの携帯電話端末事業部門であるモバイルターミナル事業本部とCHMCの販売、開発、製造、保守などの全事業を統合し、両社の技術開発力と商品企画力を合わせた商品群を有する企業となる。
また、今後の成長分野に向けて、NECのIT・ネットワーク技術を生かしたビジネス・コンシューマ向けサービスと連携した商品開発力、CHMCのコンシューマ向け商品の技術力および企画力を組み合わせることで、シナジーを創出した商品の開発を進めていくという。
なお、新会社は2010年4月に合弁を開始する予定だが、スキームとしては、2009年12月末までにNECが100%の子会社を設立、その子会社に2010年4月にNECの携帯電話端末事業を吸収分割し、その同日にその新会社を存続会社として、CHMCを消滅会社とする吸収合併を行うとしている。CHMCはこれまでカシオの連結子会社であったが、これにより、カシオの持分株は20%となり、持分法適用会社となる予定。
なお、NEC、カシオ計算機および日立製作所の3社は、今回の事業統合により、売り上げ拡大、資材、保守などさまざまな事業領域での統合シナジーの実現のほか、技術資産・ノウハウ、リソースの一体活用による開発力強化を図り、各社の商品ブランドを生かし、国内ならびに海外の事業基盤の強化を行い、従来以上に高い競争力を確立していくとしている。