プライスウォーターハウスクーパースジャパンは9月9日、「パンデミックを乗り切るためのBCM(事業継続管理)」というテーマの記者説明会を開催し、企業が新型インフルエンザの影響によって業績悪化を防ぐための対策について解説した。
初めに、テクノロジーソリューション統括ディレクターを務める中村潤氏から、「新型インフルエンザが業務中断を与える可能性とその影響」について説明がなされた。
同氏は、「日本企業は東南アジアや米国に進出しており、グローバル化によって社内の機能分散が進みつつある。東南アジアでは特に新型インフルエンザの感染者が急増しており、東南アジアに進出している企業はその影響を受けるおそれがある」と述べた。
そして、「もし新型インフルエンザによって業務が停止して損失が生じたとしても、誰も補填してくれない。つまり、企業は事業継続に向けた自己防衛策を講じておく必要がある。しかし現在は景気後退により、ウェイトを置いている企業が多く、パンデミック対策にまで手が回ってないようだ」と、同氏は指摘した。
テクノロジーソリューション シニママネージャーを務める山本直樹氏は、今年7月に経団連が行った「新型インフルエンザ対策に関する企業アンケート調査結果」を例にとり、「現在、企業が実施している新型インフルエンザ対策は、マスクの準備や職場における感染防止対策の策定など、社員やその家族の健康に被害が及ばないようにするための対策で、業務中断のリスクを管理するBCMになっていない」と説明した。
さらに、同調査では、BCMに向けて必要な対策として「継続業務の絞込み・業務継続体制の整備」、「発生時対応」を挙げているが、これらを実際に行っている企業はそれぞれ22.5%、7.3%と少ない。さらに今後1年間で重点的に取り組むとしている企業の割合も、前者が46.0%、27.3%と過半数に満たない。同氏は、「新型インフルエンザ対策を実施するにあたり、業務中断による損失を最小限に抑えなければ意味がない」と警告した。