三井住友海上グループのインターリスク総研が全上場企業3,807社を対象(772社から回答)にして行った「新型インフルエンザ対策の実態調査」によれば、上場企業の6割強が新型インフルエンザ対策を既に実行しており、計画中や予定がある企業を加えると9割強になるという。
前回(2009年1-2月の調査)と比べると、対策実行中の企業は33.1ポイント増加して63.1%に達し、計画中の企業は9.1ポイント減の16.2%、対応予定が無い企業は24.5ポイントと大きく減って7.9%にとどまり、上場企業が新型インフルエンザ対策を進めている状況がうかがえる。
具体的な対策を見たところ、衛生資材の備蓄が95.3%と最多であり、以下、社員への啓発(91.1%)、新型インフルエンザに関する情報収集体制作り(57.7%)、発生直後の緊急対応計画の策定(56.2%)と続く。
前回調査と比べると、衛生資材の備蓄が8.9ポイントと最も大きく増加し、情報収集体制作りが7.9ポイント増で続いた。
実際に実施した対策内容では、手指洗浄・消毒が87.7%で最も多い。以下、発熱時の出社禁止(75.8%)、咳エチケットの徹底(73.4%)、通勤および外出時のマスク着用(57.9%)が続く。事業の停止は3.1%にとどまり、まだ企業の事業停止に至るほどの深刻な状況ではないといえる。
従業員への感染予防対策や事業継続の取組みで苦労した点を尋ねると、マスク・消毒液などの確保が77.5%と最多であり、移動の制限が47.0%で続く。新型インフルエンザの大流行に向けた対策立案での課題・問題では、発生時の強毒・弱毒性の対応方法の違いが不明が47.8%で最も多く、事業縮小・中断のタイミングがわからないが40.5%で続いた。
今回の結果を受けて同社は、上場企業の新型インフルエンザ対策への取組みが活発化してきたとしながらも、対策の大きな柱である事業継続計画の策定についてはまだ十分ではないとみている。また中堅・中小企業における対策も進んでおらず、対策の重要性の啓発がより一層求められると指摘する。