組み込みシステム向けの開発ツールメーカーであるスウェーデンIAR Systemsは、ルネサス テクノロジの32ビットCISC CPUコアを搭載したマイコン「RXファミリ」の開発環境として、コンパイラおよびデバッガを含んだ統合開発環境(IDE)「IAR Embedded Workbench for RX(EWRX)」およびリアルタイムOS(RTOS)とファイルシステムのパッケージ製品となる「IAR PowerPac for RX」を発売すると発表した。

IAR Embedded Workbenchは、さまざまな組み込み用マイコンをサポートするIDEであり、EWRXはそのラインナップの1つとなる。同IDEは、日本の開発者の利便性を重視し、GUIのほか、ヘルプ、取扱説明書まで完全日本語対応を実現。新しい開発環境に取り組む日本の開発者の負担を軽減することが可能だ。

また、コンパイラはRX600シリーズで提供されているFPUをサポートしており、FPUのないデバイスに対しても、浮動小数点のライブラリが含まれている。

一方のIAR PowerPac for RXは、コンパクトなカーネルサイズを実現したRTOSとファイルシステムによるパッケージ製品であり、1開発当たり1ライセンスの「シートライセンス」方式を採用していることから、ユーザを特定せずに利用可能であり、比較的少人数で複数の開発プロジェクトに取り組むケースでメリットが大きくなるという。

また、パッケージ化されているファイルシステムには、NAND、MMC/SD、CompactFlash、NORの各ドライバがテンプレートで用意されており、ユーザのカスタマイズですべてのRXファミリに利用可能となり、従来、ドライバ開発に要していた手間や外注コストを削減することができる。

さらに、日本市場におけるRTOSSへの要求事項であるITRON準拠についても、国内のITORN版OSにおいてRXファミリおよびEWRXをサポートできるよう計画が進められているという。

加えて、IAR PowerPacは、IAR Embedded Workbenchに完全統合されおり、IAR PowerPacに基づくアプリケーションを実行した際には、タスクリスト、タイマ、キュー、セマフォ、リソース、メールボックスなどのRTOSの内部構造はIAR Embedded Workbenchに含まれるデバッガ「IAR C-SPY」で視覚的に検証することが可能である。

なお、2つのツールともに、同社Webサイト上から、評価版を無償でダウンロードすることが可能となっている。