欧州委員会(EC)は9月7日(ベルギー時間)、米Googleのデジタル書籍プロジェクト「Google Book Search」に関する聴聞会を開催。書籍デジタル化の重要性を認めるとともに、著作権法の調整の必要性を示唆する声明文を発表した。
Google Book Searchを欧州で展開するには、現行の欧州の著作権法は米国よりも制約が多いと言われている。ECは閣僚理事会と欧州議会の要請を受けて、7日と8日の2日間、Google Booksと著作権に関する聴聞会やワークショップを開催する。
初日の7日、情報社会・メディア担当委員Viviane Reding氏と域内市場・サービス担当委員のCharlie McCreevy氏は連名で声明文を発表、著作権を尊重して作者の報酬を保証すること、官民の協力によりデジタル化を加速化することの2点を強調した。
一連の聴聞会では、Google Book SearchでGoogleが米国の作者・出版社業界と結んだ和解案(今後、米司法当局の承認を受けて成立となる)に照らし合わせて、欧州での方向性を探る。米国の和解案では、オンラインで発生した売り上げのうち作者が63%、Googleが残りを受け取ることになっている。欧州における書籍デジタル化の課題として、デジタル時代に向けた著作権法のあり方、絶版本や著作権保有者不明の書籍などを中心に加盟国間で著作権法枠組みを統一すること、などが挙がっている。
ECによると、欧州の国立図書館の蔵書のうち、デジタル化されたものはわずか1%という。デジタル化は政府が主導する必要があるが、私企業の協力も不可欠だとしている。ECは今後数週間、Googleや作者を含む関係者、欧州議会、閣僚理事会の間での議論を進め、結果を報告する予定だ。
欧州は2008年11月、デジタル図書館「Europeana」を公開、書籍、地図、写真、映像、新聞など460万点を公開している。