IDC Japanは9月7日、国内産業分野別ITサービス市場予測を発表した。2008年の国内ITサービス市場は前年比3.1%増の5兆2,251億円にとどまり、2009年はさらに支出抑制傾向が強ま国内ITサービス市場は前年比マイナス1.9%の5兆1,257億円となるという。また、2010年以降プラス成長に転ずるものの、本格的な市場の回復は2011年以降となり、同市場の2008年~2013年の年間平均成長率は1.7%、2013年には5兆6,778億円に達する見込み。
2009年における業種別の傾向では、内外需の大幅な冷え込みや円高による業績悪化の影響を受けた製造業、今回の景気後退の源とも言える金融業において、新規構築案件を中心にITサービス支出削減が見られるという。一方、政策的な支出が期待される中央官庁・医療機関では比較的堅調なITサービス支出が期待される。
不況期に強いとされるITアウトソーシング分野でもサービス価格の下落や委託範囲の見直しが起こっており、成長率は鈍化傾向にある。ただし、全般的にITサービス支出の抑制傾向が強い業種であっても、コンプライアンス投資、M&Aに伴うシステム統合、一部企業でのITアウトソーシング拡大といった分野については支出の拡大も見込まれている。
企業のITサービス支出は景気の回復に合わせて、2011年以降再び拡大すると、同社では分析している。そのため、ITサービスベンダーは、景気後退期においてもユーザー企業と良好な関係を保ちつつ、景気回復期の成長に備えておく必要があるという。