Googleの次の成長を牽引するのはどういったビジネスなのか、投資家らの注目が集まりつつある。現状でGoogleは"Paid Search"と呼ばれる検索広告の分野で圧倒的シェアを持っているが、逆に同社の全売上の95%を占めるというほどに同ビジネスに依存しており、次の成長ドライバーが必要になりつつあるというのが多くの見方だ。英Reutersは9月4日(米国時間)の記事で、Googleの次についてアナリストらの分析を紹介している。
Brigantine AdvisorsのアナリストColin Gillis氏は、Googleの将来の成長の鍵が動画やグラフィックに埋め込まれた新しい形の広告フォーマットにあると分析する。Googleは現在、Johnson & JohnsonやProcter & Gambleといった大手広告主らに新しい広告形態を提案しており、これが実際によい感触を得ているなど、次の大きな成長分野になるのではないかと予測する。特にディスプレイ広告に関しては2008年にDoubleClick買収を達成しているものの、Yahoo!やMicrosoft、AOLといった既存の広告ディストリビューターにはシェアの面で苦戦を強いられている。
また、16億5000万ドルで2006年に買収したYouTubeが巨額投資ほどの効果はないという意見の打ち消しにGoogleが奔走していることもあり、こうした新形態の広告での収益化を間もなく達成するのではという見方もある。
モバイル広告が大きな価値を生み出すというのは、Sanford BernsteinアナリストのJeff Lindsay氏だ。Androidでスマートフォン市場に進出する同社にとっても、モバイル向け広告進出は自然な流れであり、しかも表示スペースの問題から単位広告あたりの広告単価がPCサイト向けよりも高くなる傾向があり、これが大きな収益につながる可能性があるという。
また「ジオロケーション」と呼ばれる位置情報サービスと組み合わせることで、さらに収益率を高めることが可能になるというメリットもある。ただし、これはモバイル広告がPC向け広告よりも単価が高いという前提に成り立っており、今後の推移でどこまで実現するかは未知数だ。だが現状でモバイル広告はGoogle全体の売上の5%未満であり、成長の余地が大きいということも確かだ。
Lindsay氏は「今年は無理でも、今後3-4年でモバイル広告は大きな収益源になる」と予想している。
だがこれら仮定も、昨今急減している広告市場の回復が前提だ。RBC Capital MarketsのRoss Sandler氏は「重要なのは検索広告市場における回復シナリオをどう描くかだ。第2第3のシナリオはそこから先のことだ」と指摘する。
なおGoogleでは、9月9日午前10時(米太平洋時間: PDT)に投資家向け説明会をWebキャストで行う予定だ(Appleのスペシャルイベントと同時間の開催)。こうしたアナリストらへの回答は、果たしてこの場で提供されるのだろうか。