皆さんは美術館や博物館はお好きだろうか? そうした場所に行くと必ず目につくのが、ミュージアムショップと呼ばれる関連グッズを扱った販売コーナーだ。貴重な資料や凝った置物、お土産に最適な興味深いグッズなど、見るだけでも楽しめるこれら品物をさまざまな美術/博物館のオンラインショップから集めたサイトが登場した。

「CultureLabel」のメインページ。美術/博物館別、あるいは商品別に検索が行える。「商品販売の交渉だけで2年」と膨大な準備期間がかかっている

今年7月にサービスを開始したばかりの『CultureLabel』というのがそのサイトだ。モダンアートを集めたTate Museum、英国がこれまで収集してきた歴史遺物や芸術作品を展示した大英博物館(British Museum)など、こうした英国内の著名な70の美術/博物館やカルチャーブランドを網羅。2,000点あまりリストアップされた商品から好きなものを紹介し、各オンラインショップ経由で購入できるようになっている。現在の取り扱い商品は英国内の美術/博物館限定となっているものの、CultureLabel共同創業者Peter Tullin氏は米Wall Street Journalのインタビューの中で「今後は世界中の美術館や博物館に範囲を広げていく」と目標を語っている。利用者も英国や欧州内限定というわけではなく、すでに全トラフィックの2割程度が米国内からのものというように、世界中で利用者がいるようだ。日本への発送に対応しているショップもあるので、ミュージアムショップに興味のある人は覗いてみてほしい。

英国ロンドンにある大英博物館。博物館や美術館としての機能だけでなく、世界最大規模の蔵書を誇る図書館が中央部に設置されているなど、学術面でも貴重な存在だ

同サイトを開始した目的は、その知名度の割にはオンラインでのプレゼンスが低いという、前述の美術/博物館のようなカルチャーブランドを広めることにある。例えば、大英博物館では自身のWebサイト内にオンラインストアが用意されているものの、その多くはサイトをチェックしに来た訪問者であり、しかも間違えてストアのリンクをクリックしてしまったような人々がほとんどだという。このようにブランドを活かしたオンライン戦略を実現できている団体はほとんどなく、Amazon.com的なブランドモールを設けることで認知度向上と利用者増を実現するのが目標となる。米国ではMoMA (Museum of Modern Art)のように独自のストアを構築し、専門のリテールストアをニューヨークと東京にオープンするなど積極展開を行っているが、こうした例はむしろ希だろう。