グーグルは4日、Googleマップ上で提供するサービス「ストリービュー」に関し、プライバシー保護問題に配慮した取組みについて発表した。総務省やユーザーからの要請に基づくもので、画像の悪質な二次利用をするサイトは検索対象外にするなどの取組みを行う。
ストリートビューについては、個人のプライバシーがネット上に公開される事態などが指摘されてきた。こうした問題に関し、東京都の情報公開・個人情報保護審議会の議論を経た後、総務省でも同様の問題を検討するため、「利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会」を2009年4月に設置した。計3回にわたる議論を行い、8月27日に研究会として第一次提言を公表。さらに、同提言に基づき、総務省からグーグルに対し、サービスの提供にあたり求められる望ましい取組みについて要請が行われた。
グーグルでは今回、総務省の要請書に応え、プライバシー保護問題に配慮した取組みについて、5月に公表した分も合わせた形で、記者会見で 以下の項目別に説明を行った。
撮影態様の配慮などに関して
事前の情報提供及びサービス全般に関する周知の徹底に関して
サービス公開後の対応の充実に関して
個人情報の適正な取り扱いに関して
1の「撮影態様の配慮などに関して」では、「撮影カメラの高さを40cm下げて公開済みエリアを含め撮り直し」「ナンバープレートの自動ぼかし処理」など、今年5月に発表した取組みについてあらためて説明した。撮り直しに関しては、現在行っている途中という。
2の「事前の情報提供及びサービス全般に関する周知の徹底に関して」は、同社のWebサイトにおいて、「現在撮影中のエリア」という箇所を設け、ストリートビュー提供のために写真撮影中の地域を、都道府県を複数のブロックに分割したレベルで掲載する。ただし、「気象状況や道路閉鎖などの不可抗力により撮影できない場合、Webサイトに掲載されていない地域で撮影車が走行する場合もある」(グーグル)。
また、サービスの公開に当たっては、都道府県と政令指定都市に対し、「可能な場合」(同社)との注釈つきながら、事前に公開する旨を連絡するとしている。ただし、詳細な公開日時に関しては、「さまざまな技術的理由から連絡できない」(同)としている。サービス対象エリアに含まれる地域住民に対しては、パンフレットの配布など、インターネット上以外での広報活動も行うとした。
3の「サービス公開後の対応の充実に関して」は、画像の公開停止要請について、5月に公表した通り、Googleストリートビュー専用ダイヤルや、PC、携帯電話によって対応する。
またストリートビューで提供される画像の悪質な二次利用がWebサイトであった場合、これまでは直接ユーザーからサイト管理者らに連絡してもらうことにしていたが、グーグルでは近く、画像の違法・悪質な二次利用のケースを同社に連絡できる仕組みを整える。「悪質」の基準としては、いじめ、いやがらせ、ストーカー行為、脅迫や著作権侵害を行った場合など、同社が設けている利用規約に違反する場合を想定している。悪質・違法と判断された場合は、削除要求をはじめ、訴訟を含む各種法的手段を講じる。削除要求などにサイト管理者らが応じない場合は、「日本におけるグーグルのWeb検索のインデックスから除外する」(同社製品開発本部長の徳生健太郎氏)とし、こうしたサイトをいわゆる"Google八分"にする可能性も示唆した。
4の「個人情報の適正な取り扱いに関して」は、プライバシーポリシーの中にストリートビューに関する補足を策定、4日から公開している。
ストリートビューは、2008年8月に日本国内でのサービスが開始された。Googleマップ上で指定した地点をパノラマ写真で表示し、地図の歩行者視点を提供するという機能で、マウス操作で360度全周囲を見渡せるほか、実際にパノラマ写真だけで道を進むといった使い方もできる。札幌/ 小樽/ 函館/ 仙台/ 東京/ 千葉/ さいたま/ 横浜/ 川崎/ 鎌倉/ 大阪/ 京都の12都市をカバーしている。
徳生氏は、「今後も日本の社会風土と合った形で改善を続けていき、ユーザーに対する義務を果たしていきたい」とし、今後も引き続きユーザーからの意見を求める姿勢を示した。