Red Hatは9月2日(現地時間)、同社が提供する企業向けLinux OS「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)」の最新版「Red Hat Enterprise Linux 5.4」を公開した。同社のサポート契約者であればRed Hat Networks経由でアップデートすることが可能。

今回リリースされたRHEL5ファミリは以下の通り。なお、カーネルにはいずれもバージョン2.6.18-164.el5が採用されている。

  • 仮想化機能を統合したサーバ版 … Red Hat Enterprise Linux 5 Advanced Platform for x86, AMD64/Intel 64, Itanium Processor Family, Power Systems and System z
  • サーバ版 … Red Hat Enterprise Linux 5 Server for x86, AMD64/Intel 64, Itanium Processor Family, Power Systems and System z
  • デスクトップ版 … Red Hat Enterprise Linux 5 Desktop for x86 and AMD64/Intel

新バージョンにおける主な変更点は以下の通り。

  • ハードウェア … GRO(Generic Receive Offload)をサポートした10Gb Ethernetドライバに対応、標準的なNICにおけるFCoEサポート、シングルルートI/OV(I/Oの仮想化)のサポート
  • システム … システムタップ(カーネル2.6.x用のデバッグ用システムロガー)のためのカーネルトレースポイント、プロセスごとのI/Oアカウンティング、FIEMAPサポート
  • 仮想化 … ハイパーバイザを192CPUまで拡張、KVMを追加

とくに注目すべき点は、KVMをベースの仮想化テクノロジとして採用したことだ(Xenのサポートも継続)。Red Hatは以前からXenからKVMへのシフトを明らかにしており、今回、はじめてカーネルに統合した形でリリースを行った。もっともこれに関連する仮想化管理製品群はまだリリースされておらず、今年中に出るのかも未定となっている。Red Hatはみずからを「クラウドのリーディングカンパニー」と位置づけており、KVMはその自信を支える重要なアーキテクチャでもある。早急なツール群の整備に期待したいところだ。