vProの特長を一言で表すと"TCO削減"

Intelは9月1日、都内でvProテクノロジーに関する説明会「インテル vProテクノロジーDAY」を開催した。vProはIntelが2006年に提供を開始した企業向けPCを主なターゲットとしたプラットフォームで、ハードウェアとしてのセキュリティ機能や運用管理支援機能などを搭載していることが特長となっている。

インテルの技術本部長である及川芳雄氏

インテルの技術本部長である及川芳雄氏は、「昨今の経済状況は厳しいの一言だが、市況は変化を続けており、細かに経済状況を見据えた投資が重要。市場が成長局面に入ってからの投資では遅い。実際に、ICTへの投資と国力の相関関係を示す統計なども出てきている」とし、現在のような市場の低迷期であるからこそ、攻めの経営にシフトすることが重要であることを指摘する。

そのような市場環境において、オフィス内のPCを考えた場合、リプレースの間隔が過去に比べ伸びてきているが、「システム運用の側面から見ると、既存システムは3年以上の運用を行った場合、セキュリティの問題は3年未満に比べてデスクトップPCで28%、ノートPCで同58%ぞうかするほか、保守部品の交換コストなどの面でも割高になる」(同)とし、「導入コスト削減のための既存システム延命は短期的なコスト削減にはなるが、メンテナンスコストや運用負担の増大などを加味した場合、結果的にはコストの増大につながる」(同)と指摘する。

さらに同氏は、「短期的なIT投資の特性は良策なのかを考えてみると、PCの性能は常に向上しており、それらを活用してより競争力を得ようという考えからすれば必ずしも得策ではない」と述べ、「特に5年目以降使い続ける場合、セキュリティリスクや運用コストなどが増大することとなり、デスクトップにしろノートにしろ3年を目安にリプレースするのがTCOの観点からすれば一番安くなる」(同)とする。

IT投資の成長率とPCのリフレッシュ時期における各種コスト比較

また、2009年9月1日からは、企業向けにマイクロソフト(MS)がWindows 7 Professional、およびWindows 7 Enterpriseの2エディションの出荷開始をアナウンスしているが、「IntelもMSと協力してバッテリの長寿命化やセキュリティ機能の強化などを図ってきた。特にvProを搭載したPCでは運用管理ソリューションや電力効率の向上などのさまざまな機能が詰め込まれているが、一言でそれらの特長を述べるならば"TCO削減"であり、これらを活用することで、景気回復の準備をしてもらいたい」(同)とした。

なお、9月1日付けで、国内におけるvPro対応ソリューションとして、Skyの「SKYSEA Client View ver.4.1」および日立ビジネスソリューションの「DoMobile CSE ver2.7」の対応が発表されており、これにより国内のvPro対応ソリューションは30製品を突破したこととなる。

vProテクノロジーに対応したソリューションを提供する主なベンダの一覧

ソリューションでIT投資を活用

インテル マーケティング本部の徳永貴士氏

では、いかにIT投資を活用するか。これについて、インテルのマーケティング本部 徳永貴士氏は、「IT機器はオフィス内で増えることはあっても、減ることはない。しかもJ-SOXなどの法規制が強化される中、セキュリティの確保と運用管理をいかに行うかがTCO削減につながる」と指摘。その中において、電力コストを知ることがある程度の目安となるとする。

その電力コストだが、前世代PCとの消費電力を比較すると、Pentium D 940とCRTモニタの組み合わせのものとCore 2 Duo T9400を搭載し、運用管理を行っているノートPCを比較した同社の試算だと、年間消費電力は前者が1008kWhであるのに対し、後者は38kWhと劇的に下げることが可能である。また、デスクトップ同士であっても、CPUをCore 2 Duo E7200に、モニタをLCDへと変更し、運用管理を行うと同192kWhとなるという。実際のデモでは、Pentium D 940とCRTモニタの組み合わせのものと、Core 2 Duo E8400とLCDモニタを組み合わせたもの、そしてCore 2 Duo U9300搭載ノートPCで比較したが、アイドル時の消費電力は、それぞれ159W、72W、11Wであり、MicrosoftのExcelとWordを30秒間実行させた場合の電力の積算値は1.93Wh、0.32Wh、0.14Whという最大と最少の差が10数倍となり、「IT部門のコスト削減として電力の効果は非常に大きい」(同)とする。

vProによる運用管理活用で電力はより削減することが可能となる

デモの概要

左からCore 2 Duo U9300搭載ノートPC、Core 2 Duo E8400とLCDモニタを組み合わせたもの、Pentium D 940とCRTモニタの組み合わせのものとなっている

アイドル時の瞬間消費電力

30秒間アプリを動かしたときの電力積算値(下部分)