インテルは1日、vProテクノロジーの最新状況に関する記者説明会「インテル vPro テクノロジーDAY」を開催した。2006年の発表以来、近年は本格的な普及期に入っているvPro。その同社のビジネス・クライアントPC技術が、企業の将来のビジネス成長にもたらす利点について、具体例を交えながらの説明が行なわれている。
同社技術本部長の及川芳雄氏は、不況下で多くの企業のIT投資が抑制傾向にある今、あえて攻めのIT投資が必要だと訴える。それの理由のひとつは、経済状況が成長局面に転じてからの準備では、新しい需要に対応できないということ。そしてもうひとつは、今の時点でIT投資し、クライアントPCをリフレッシュすることで、むしろTCOの削減を実現できるからなのだという。
TCOの削減については、同社の試算による、クライアントPCを3年でリフレッシュした場合の効果のデータが示された。柱となるのは4項目で、電力効率の改善による「エコでコスト削減」、セキュリティの強化による「サポートコストの削減」、生産性の向上による「業務の効率化でコスト削減」、運用管理の改善による「管理でコスト削減」。
電力コストの削減効果は大
特に電力効率の改善によるコスト削減は効果が高いとして、より具体的な説明があった。電力コストは、企業のIT部門において大きな課題としてあげられてはいるが、例えば、未だに電力コストそのものは総務部門が管理し、IT部門はタッチしていないという企業が少なくないのだという。そういったことも含め、IT部門が企業のコスト改善に貢献できる最たるものは電力コストの削減であり、その余地は大きい。
説明会では、最新のvProを導入した場合の電力の削減効果が、実機によるベンチマークデモにて紹介された。用意されたベンチマークシステムは、過去の企業内クライアントPCを想定したものから、Pentium D 940+CRTモニタ、Core 2 Duo E8400+液晶モニタ、Core 2 Duo U9300搭載ノートというもの。
まず、アイドリング時の各システムの消費電力は、先の順番のとおりで、それぞれ159W、72W、11W。ついで同一タスクでオフィスアプリケーションを実行させ負荷をかけた状態での消費電力は、234W、106W、20Wとさらに差が広がる。その上、同アプリケーション実行時の積算消費電力でも、処理能力の違いから、1.93Wh、0.32Wh、0.14Whと相当に大きな差が出ていた。
同社のvProでは、プラットフォームに、ハードウェアとして省電力/PC管理/セキュリティの機能を実装し、ソリューションとしてソフトウェアと連携する。電力コスト削減において、その一例が電源オン/オフの管理といった運用管理で、この運用管理の活用で、さらに電力コストの削減を達成することも可能だというデータも公開された。同データによれば、運用管理なしのPentium D 945+CRTモニタを基準とした場合、運用管理ありのCore 2 Duo E7200+液晶モニタであればおよそ5分の1に、運用管理ありのCore 2 Duo T9400搭載ノートであれば実に26分の1以下にまで電力削減が可能だとされていた。