ノベルは8月28日、今年5月に就任した代表取締役社長の徳永信二氏による事業戦略説明と、関連新製品の発表を行った。
徳永社長はノベルの市場での位置づけとして「仮想化/クラウド時代のインフラソフトウェアベンダとして、仮想化移行促進、クラウド事業者を支えていく」とした。
市場セグメントとしては、「データセンター」「エンドユーザーコンピューティング」「アイデンティティおよびセキュリティ」の3分野に注力するという。データセンターとは、データセンター運営者向けのソリューションで、「ワークロード管理」「仮想化および統合」「エンタープライズLinuxサーバ」を中核とする取り組みだ。SUSE Linuxの主力市場だと言い換えてもよいだろう。エンドユーザーコンピューティングでも、同じくSUSE Linuxのデスクトップが中心となる。アイデンティティおよびセキュリティは、NetWare時代からの長い歴史を誇る同社のディレクトリ関連製品の市場となる。基本的に、これまでの同社の取り組みの延長線上にあるメッセージだと言えそうだ。
Linux上のXenおよびMicrosoftとの提携によるHyper-Vへの対応を中心とした仮想化技術への取り組みも従来通りだが、昨今のトレンドを反映してクラウド対応も明言するようになった点がアップデートされた部分になろうか。
仮想化ソフトウェアの現状に関して徳永社長は、「複数ベンダの仮想化製品が乱立し、混在化が進む」という予測を踏まえ、運用や管理/構築に関してマルチベンダ環境に対応した製品が必要になるとした。同社の製品はマルチベンダ環境対応をアピールポイントとしているので、一見成熟が進み、寡占化に向かいつつあるように見える仮想化市場ではあるが、同社にとっては大きなチャンスがあると見ているようだ。
同時に発表された「PlateSpin Migrate 8.1」は、物理サーバ、仮想サーバ、イメージファイルの3種の形態間での自在なサーバマイグレーションを実現する仮想環境管理ツールだ。P2V、V2V、V2P、P2I、I2Vといった移行が可能だ。VMware上で稼働している仮想サーバをHyper-V上に移動するといった、マルチベンダ環境間での移行もサポートする。サーバの稼働中にも移行可能なライブマイグレーション機能もサポートするほか、差分変換という機能もある。差分変換は、一度テストで移行した際のイメージと現状のイメージの差分のみを新たに移行するという機能だ。重要なサーバであれば、ぶっつけ本番で移行作業を開始するということはあり得ず、まずは正常に移行できるかどうかのテストを行うだろう。テストの結果、問題がなければ本番以降となるわけだが、単純に見ればこれは二度手間ということになる。差分移行では、テスト移行の際のデータをベースに、テスト時から本番移行時までの間に変更された部分だけを本番時に移行するため、本番移行に要する時間が大幅に削減できることが特徴となる。
価格は、Windowsベースの「サーバ移行単位」ライセンスの場合、1 - 149サーバ移行ライセンスと1年間のプライオリティメンテナンスを合わせて2万7,600円(税別)となる。