SQL Serverの次期バージョン(コード名「Kilimanjaro」)は、2010年の前半にリリースされる予定となっている。横浜で開催中のTech・Edでは、この製品の概要を説明するテクニカルセッションが設けられ、マイクロソフト シニア テクノロジー スペシャリストである佐藤秀和氏が解説を行った。
SQL Serverの最初のバージョンは、サイベース社のデータベースエンジンをベースに作成されていたが、SQL Server 7.0でマイクロソフトの独自アーキテクチャに変更された。そして2005年、さらにアーキテクチャに変更が加えられ、第3世代となるSQL Server 2005がリリースされた。"Kilimanjaro"は、この世代のラインに該当し、正式名称はすでに決定されており、「SQL Server 2008 R2」となる。
佐藤氏は、「SQL Serverは、データベースだけでなく、データベースを活用するためのサービスを製品に取り込んでいるのが大きな特徴だ」と説明した。そして、SQL Server 2008 R2でも、管理機能の強化やデータを活用するための新たなサービスが追加されるという。
具体的には、「ハードウェアの進化への対応」「アプリケーションとマルチサーバ管理」「マスターデータサービス(MDS)」「セルフサービスBI」といった機能が追加されているという。
ハードウェアの進化への対応
「ハードウェアの進化への対応」では、最近のプロセッサの進化に対応するため、Windows Server 2008 R2とSQL Server 2008 R2の組み合わせにより、64論理プロセッサ(コア)以上をサポートできるようになるという。
アプリケーションとマルチサーバ管理
「アプリケーションとマルチサーバ管理」では、複数のデータベースを管理する仕組みとして「UCP(Utility Control Point)という機能が、スキーマなどデータベースオブジェトの定義情報を管理する「DAC(Data Tier Application Component)が追加される。
UCPでは、複数のSQL ServerをCPUとDiskという2つのリソースに絞って使用率が管理できる。
CPUではサーバ/インスタンス使用率(上限/下限)、DiskではVolume/データベース単位でDiskの使用量(上限/下限)を管理でき、これを使うと、あらかじめ設定したしきい値である上限あるいは下限を超えると、アラートを表示する。
管理対象のデータベースは、SQL Server 2000/2005/2008/2008 R2となっている。
DACは、XML形式の定義情報を利用して、データベースのオブジェクトやスキーマをインストール、アンインストール、アップグレード、再配置できる機能だ。この情報は、Visual Studio 2010で新たに作成したり、SQL Serverに付属するManagement Studioで、既存のデータベース環境から生成することもできる。
この機能を利用すると、開発系の構成をもとに本番系を構築するといったことが可能になるという。