ディスカバリー・ジャパンと宇宙航空研究開発機構(JAXA)は8月22日、都内で親子のための宇宙科学イベント「ディスカバリーキッズ科学実験館~コズミックカレッジ~」を開催した。
同イベントは、小学校3~6年生までの子供とその保護者を対象としたもので、東京のほか、札幌(9月27日)、仙台(10月18日)、九州(11月15日)、大阪(12月15日)、広島(2010年2月予定)、名古屋(2010年3月7日)での開催が予定されており、8月27日現在、仙台と札幌の参加者募集を受け付けている(札幌は8月30日締め切りなので注意が必要)。
これまでもJAXAが地域の科学館などの非営利団体と組んで宇宙科学に親しむためのイベントなどを開催してきたことはあるが、今回はドキュメンタリー専門チャンネルである「ディスカバリーチャンネル」と組むことで、同チャンネルの持つ宇宙関連の番組の映像を交え、より本格的に宇宙を感じることができるようになっている。
月の大きさはどれくらい?
ディスカバリーチャンネルの持つコンテンツ「NASA50年 宇宙開発の光と影」から、人類の宇宙開発史を振り返る映像からイベントはスタート。1969年7月20日に月に着陸したアポロ11号や国際宇宙ステーション(ISS)、「かぐや」による月探査の映像を一気に見せられると、思わずディスカバリーチャンネルに加入して、すべての映像を見たくなるほどである。
映像が終わると、JAXAコズミックカレッジ講師の中村雄一氏が登場。月や日食などの説明とともに、先日地球に帰還した若田光一宇宙飛行士についても触れ、「毎日の筋力トレーニングで、筋肉には問題がないのだが、無重力(微小重力)の影響により骨が脆くなっているため、現在リハビリを行っている最中」と説明した。
ここで中村氏、直径20cmのスチロール製の球体を取り出し、「これを地球と見立てると、月はどれくらいの大きさになるでしょうか?」と子供達に質問。直径15cm、10cm、5cmと取り出していき、さらに小さいものも合わせると、合計6つの月候補が出現。これには会場の子供達の意見も相当に分かれることとなった。また、地球と月との距離についても質問。ちなみに光は地球と月の間を約1.28光秒で移動することが可能である。
日本が歩んだ宇宙への挑戦の歴史
これを踏まえて、月周回衛星「SELENE(かぐや)」が月軌道に乗るためには約3カ月かかったことを説明。これを打ち上げた日本のロケット「H-IIA13号機」にも触れ、日本のロケット史を振り返る映像が放送された。
戦後の日本ロケット史は1955年のペンシルロケットからスタートした。その後、度重なる失敗を経て1970年ラムダロケット(L-4S5号機)による日本初の人工衛星「おおすみ」の打ち上げに成功。その後も開発は続き、現在はH-IIBロケットの開発を進めており、9月11日には宇宙ステーション補給機(HTV)技術実証機を搭載して打ち上げられる予定となっている。
と、日本のロケットの話を聞くだけでは子供達も楽しくないので、ここでロケットの製作実験がスタート。今回は傘袋を使ったロケットを作成することとなった。ビニール製の傘袋をロケットのボディとし、そこに最大4枚の紙の翼を貼り付ける、というもので10分もあればだれでも作れる代物。推進力は手だが、投げ方としては単に手で投げるだけではなく、「後方を手で叩いて飛ばす方法や、指で弾くような感じで飛ばす方法もある」(中村氏)とのことで、いざ、どの程度飛ぶのか、教室から出たロビーの2階部分から、1階に向けて飛ばす飛行実験が行われた。
今回のイベントは午前と午後の2回に分かれて実施。1回の参加者は150組300名というもので、数回に分かれて全員が飛ばしてみたが、滞空時間は長いが飛距離が出ないものから、15m付近まで飛んできたものまでさまざまであった。
ちなみに上位3人の飛距離は3位が13.90m、2位が14.10m、1位が14.75mであった。2位のロケットは、1枚だけ翼をロケットの前部分に取り付けた工夫を、1位のロケットは先端部に重りとしてセロテープに加えて輪ゴムを使ったとのことである。