新しい技術やサービスは若い層が開拓し、成長を牽引する――少なくともこの構図はTwitterには当てはまらないようだ。急成長し、日々新しいニュースが飛び込んでくる「Twitter」。このサービスを誰が利用し、成長を牽引しているのかについて米New York Timesが8月25日(現地時間)付けの記事で考察している。
NYTでは米ニューヨーク近郊のニュージャージー州スパルタ在住の18歳の少女にフォーカスし、彼女が日々500通ものテキストメッセージを携帯電話でやりとりするヘビーなテクノロジーユーザーでありながら、これまでTwitterを一度も使ったことないし、興味もないという話を紹介している。「自分の普段の行動を誰かに知られたいとは思わないし、知られることに抵抗がある」というのがその理由だ。
米comScoreのデータによれば、12-17歳の年齢グループのTwitterの利用比率はわずか11%程度だという。このサービスは若年層よりむしろ、比較的高い年齢層での利用が一般的なようだ。英Reutersも、3月30日のBlogへの投稿でこのことを指摘している。ReutersはcomScoreのデータを引用して、Twitterのトラフィックの大部分は35歳以上の年齢層のアクセスによって成り立っていると推測している。米comScoreの業界分析ディレクターのAndrew Lipsman氏は「伝統的な"アーリーアダプター"(早期適合者)モデルでは、ティーンエイジャーや学生などが重要な位置を占めている」と指摘する。「Facebook」にしろ「MySpace」にしろ、こうしたSNSサービスの多くはまずティーンエイジャーのような若年層がトレンドを牽引し、そこからより高い年齢層へと広がっていく傾向があるという。以前に紹介したFacebookでの事例では、アカウントの一般開放後に急速に高年齢化が進んだという実績がある。現在、両SNSにおけるティーンエイジャーの割合はMySpaceが14%、Facebookに至ってはわずか9%程度だ。
では翻って、Twitterはどうだろう。アナリストらはこうした「若年層がサービスの初期の成長を支える」というモデルがあくまで根拠のない推測でしかないと指摘する。例えばオンラインサービスの例でいえば、「YouTube」や「Blogger」のアーリーアダプターは大人、中でも若い大人の層が中心だった。人材情報を中心に成功したSNSの「LinkedIn」ではターゲットがプロフェッショナルのため、そもそもティーンエイジャーが入り込む余地がない。同様のことはガジェット関連にもいえ、任天堂のゲーム機「Wii」は当初の子供を中心としたマーケティングからターゲットを変更しつつある。Amazonの「Kindle」やAppleの「iPhone」なども、ターゲットは子供ではなく大人だ。
つまり、Twitterの例でいえば、最初からティーンエイジャーという若年層がトレンドリーダーだったという事実は存在しなかった可能性がある。NYTによれば、Twitterに乗っかった層というのは「FacebookやMySpaceといった新サービスに次々と飛び込んでいった若年層を横から眺めていた大人」である可能性が高いという。たとえFacebookのようなサービスを最初期から利用していた若年層でも、個々の連絡にはテキストメッセージングのような手段がすでに深く入り込んでおり、Twitterが介在する余地がなかった可能性がある。先入観に囚われてマーケティングを行うと、そのターゲットを見誤ることがあるという話だろう。またティーンエイジャーのような若年層は非常に気まぐれで、MySpaceやFriendsterといったサービスの初期の成長を助けていた人物らは、すぐにFacebookへと鞍替えしている。移り変わりの激しさもまた、こうしたサービスの特徴だろう。