AppleがGoogle VoiceのApp Storeへの登録を拒否した問題について、現在米連邦通信委員会(FCC)が当事者であるApple、Google、そしてiPhoneの提供キャリアであるAT&Tの3社に対して聞き取り調査を開始しているが、この火の粉はやがてGoogle自身に降りかかる可能性があると米USA Todayが8月21日(現地時間)の記事で指摘している。同紙によれば、Googleは自身の運営するAndroid Marketで同様のVoIP通信を実現する"Skype"の登録を認めておらず、機能制限つきの"Skype Lite"のみ利用を許可しているという。

Skypeはインターネットのデータ通信を利用して長距離の音声通話を無料または安価に利用することが可能だが、Skype Liteではこの機能は利用できず、あくまで通常の音声通話と同様の課金体系が適用されるという。同記事はAppleがApp Storeへの同種のアプリ登録を拒絶する一方で、Googleもまた同様の行為を行っていると指摘する。USA Todayに寄せられたSkypeのコメントによれば、Androidはフル機能を搭載したSkypeをサポートしておらず、SkypeをAndroidまたは他の一般的な携帯電話上で動作させるためにSkype Liteを開発したという。またGoogleの説明では(米国でのAndroid端末の独占提供キャリアである)T-MobileがSkypeの利用を制限するよう提案していたように受け取れるが、T-Mobile側ではこれを否定しており、Googleに対してSkypeの登録禁止を依頼したこともないという。

Googleでモバイルプラットフォーム事業のバイスプレジデントを務めるAndy Rubin氏

このUSA Todayの記事について、Androidの総責任者であるAndy Rubin氏はすぐさま反論している。同氏によれば、これは現行バージョンのAndroidの機能上の制限であり、次のバージョンのAndroidではVoIPにおける制限も解除されているという。開発者は新バージョンの利用でVoIPアプリの開発が可能になっているが、現時点で同機能を利用したアプリは1件も登録されておらず、Skype自身も登録を依頼してきていないというのが同氏の主張だ。

現時点でVoIPアプリがAndroid Marketに存在しない以上確認はできないが、Googleの話が本当であるとすれば、来年には製品が登場するとみられる「Android 2.0 "Donut"」の世代ではVoIPアプリが普通に利用できることになる。Googleではアプリの登録を拒否する可能性があること自体は否定しておらず、それは「通信キャリアの利用規約に違反している場合」と説明している。T-Mobileは審査に関与したこともないと言明しており、実際の登録はGoogleの判断に委ねられるだろう。来年以降の動向で、その真偽を確かめていきたい。