産業能率大学は8月25日、2009年度入社の新入社員614人を対象に行った「2009年度新入社員の会社生活調査」を年代別にクロス集計し、ゆとり世代(1987年度生まれ以降=21歳以下)と22歳以上の層を比べて見出したゆとり世代の特徴を発表した。
同大学によると、調査対象は皆、新入社員だが、ゆとり世代は高卒・高専卒・短大卒、それ以上は大卒である点には留意が必要だという。
1つ目の特徴として、「指示待ちでミスが怖い」という点が挙げられている。同調査で、上司の仕事で一番大事なものを問う質問で、「部下に指示を出す」という回答が、22歳以上は30%であるのに対してゆとり世代は41%と11ポイントも開きがある。同様に、上司に仕事の相談をする場合に指示、判断、意見・アドバイスのどれを求めるのが適切かを聞いた質問では、全体としては「意見・アドバイス」が多数を占めるものの、ゆとり世代は22歳以上の層よりも「指示を求める」について高い数値が出ている。
また、新入社員から仕事を任せられることについて不安かやる気が出るかを二者択一で聞いたところ、他の年齢層に比べ「不安である」が高くなっている。同大学では、年齢の違いによる影響も考えられるが、ミスを避けようとする意識があるのかもしれないと分析している。
2つ目の特徴として、「就職先選定では中身より外見重視」である点が挙げられている。就職先に選ぶ際に重視したことは、ゆとり世代と22歳以上のいずれも「仕事内容」と「業種」がそれぞれ1位、2位だが、3位は、ゆとり世代は「所在地」、22歳以上は「企業風土」と大きく異なっている。
22歳以上の回答よりもゆとり世代の数値が特に高いものは、「所在地」、「給与水準」、「企業規模」、「知名度」であり、極言すると、ゆとり世代は企業の中身よりも外見を選択基準にしているような印象があると、同大学ではコメントしている。
3つ目の特徴として、「仕事に対する熱意より自分自身を伸ばしたいという気持ちが強い」ということが挙げられている。働くことに対して求めるものを聞いた質問に対し、ゆとり世代は「人間としての成長」が高く、「社会の役に立つ」「自己実現」は低いという結果が出ている。これより、同大学は、ゆとり世代は「仕事でこれを実現したい」「社会や人の役に立ちたい」という仕事に対する熱さよりも、自分自身の成長に対する実感を求めていると指摘している。
この特徴は出世に対するイメージを聞いた質問からも読み取れ、ゆとり世代は出世について「努力・能力の証」という回答が顕著に高く、「所得の向上」「社会的なステイタスの向上」などは22歳以上の層よ り低くなっているという。
なお、ゆとり世代は転職に否定的という結果が出ている。転職について「キャリアアップ」と「挫折」のどちらのイメージが強いかを問う質問で、ゆとり世代は圧倒的に「挫折」が多い。ゆとり世代は「キャリアアップ」 (52%)と「挫折」(48%)が拮抗しているにもかかわらず、22歳以上ではキャリアアップが75%、挫折が25%と大きく開きがある。