米MicrosoftとフィンランドのNokiaは8月12日(米国時間)、ビジネス向けモバイル・ソリューションでの提携を発表した。MicrosoftのOffice Mobileおよびビジネスコミュニケーション、コラボレーション、デバイス管理ソフトウエアをNokiaのSymbianデバイスで利用可能にする。Microsoftは「Windows Mobile」を開発・提供しており、モバイル市場において両社はライバル関係にある。発表の中でMicrosoftのビジネス部門担当プレジデントStephen Elop氏は「モバイル・プロフェッショナルのニーズの解決に、ソフトウエア最大手と携帯電話最大手が共同で取り組む」と"2つの最大手"の結びつきを強調している。
2社は、モバイル・プロフェッショナル向けプロダクティビティ・ソリューションの設計・開発、そしてマーケティングで協力する。ビジネス向けのEシリーズを皮切りに、Nokiaの幅広いスマートフォンに同ソリューションは組み込まれるという。
具体的にはまず、Officeドキュメントの表示・編集・共有を実現するモバイル版のOfficeアプリケーションをNokiaのスマートフォンで利用可能にする。NokiaはExchange ActiveSyncのライセンスを取得しており、すでに多くの機種でMicrosoftのグループウエア製品Exchange Serverとのデータ同期を実現している。この関係をさらに強化し、来年にNokiaはMicrosoft Office Communicator Mobileをサポートする機種を投入する計画だ。またMicrosoft SharePoint Serverで構築されたイントラネット/ エクストラネット・ポータルへのモバイル・アクセス、Microsoft System Centerによるエンタープライズ・クラスのデバイス管理も実現する。
この提携の結果、MicrosoftはOffice Mobileを唯一利用できるモバイル・プラットフォームというWindows Mobileの優位性を失うことになる。それでも、Officeソリューションの拡大戦略を優先した形だ。プロダクティビティ市場では、Google DocsのようなWebベースのサービスがデバイスを問わないソリューションを提供し、着実に成長している。こうした動きに対抗してMicrosoftもWeb版の「Office Web Applications」を投入する。今回の提携についてもElop氏は「PC、携帯電話、ブラウザの全てで最高のプロダクティビティ体験を提供する戦略の一部である」と説明している。
一方Nokiaは携帯最大手であるものの、スマートフォン市場においてはRIM、Apple、HTCなどとの厳しい競争を強いられている。特にビジネス市場においてはRIMのBlackberryが安定した人気を維持しており、Office Mobileの獲得を巻き返しの切り札とする構えだ。