NECおよびガリレオ工房は8月11日、小学生向けおもしろ科学実験教室と銘打った科学を実体験する学習教室「NECガリレオクラブ 2009」を実施した。

この日、会場に集まったのは関東を中心とした全国の小学生4~6年で、300件を超す応募の中から選ばれた約100名が参加した。

14回目となる今回は、2009年がガリレオの天体観測から400年となる「世界天文年」ということもあり、宇宙をテーマに、「~宇宙はここまで近づいた! ガリレオから400年~」と題して開催された。

会場の様子

来場した子供達に配られた当日の実験パンフと参加者を表すガリレオバッチ

400年の時を越えてガリレオが登場

教室は、先日日本で見られた皆既日食の映像から地球を見つめる形でスタート。まずは天体観測のおさらいということで、ガリレオ・ガリレイ(Galileo Galilei)が人類初の天体観測を開始し、いかにして地動説へと至ったのかから、40年前に人類が月に到達するまで、という人類の歴史を振り返ったところで、今年で445歳となるガリレオが会場に登場。ガリレオのさまざまな発見についてのエピソードを話してくれた。ちなみに、ガリレオ曰く、「4歳上には直江兼続がいる」とのこと。

今回、ガリレオが始めに実演して見せてくれたのは「落体の法則」であり、その2つの主法則を実演して見せた。1つは"軽い物体も重い物体も落下する時間は等しい"というもの。月に見立てた球体とペラペラの紙を同時に落とすとどうなるか、紙を折り曲げて落とすとどうなるのか、といったことを子供達も実際になって確かめてみた。

ガリレオ・ガリレイが登場し、自ら発見した法則の解説も

球体と紙を同時に落としてみせる

時にはピサの斜塔に登って、上から落としてみることも

板の上に風船を置いたら、どう落ちるのか、という質問をするガリレオとそれを実験する子供たち

2つ目は"落下距離は落下時間の2乗に比例する"というもの。斜面に沿って落ちる場合でも物体は加速しながら落ちていくというもので、時間が1・2・3・4…と増えていくのに対し、落下する物体の落下距離は1・4・9・16…と2乗して増えていくことを、斜面に設置されたセンサで見せてくれた。

落下距離と落下時間の関係に関する実験(思わず角度を急にしても実験してしまう一面も)

2つ目の実演は、"振り子の等時性"について。ガリレオは、ピサの大聖堂にきたとき、天井から吊り下げられたシャンデリアの揺れを見て、この法則を発見したといわれている。ただし、本当に大聖堂でこの法則を発見したかどうかは定かではないとのこと。実演では、長さの違う振り子、重さの違う振り子などが用意され、それぞれの比較が行われた。

"振り子の等時性"の実験(同じ長さ、同じ大きさの球体を振り子の勢いを変えて振らせてみる)

今度は球体の大きさ(重さ)を変えての実験

そして最後は球体を垂らした糸の長さを変えての実験

天体望遠鏡を自作しよう

基本的なガリレオの法則を確認した後は、ガリレオを模して天体望遠鏡を自分達で作ろうというもの。とはいっても、天文台で使用されるような巨大なもの、ではなく、紙筒を用いたもの。

ガリレオが月面を観測したということで、月のウサギが会場に乱入する一幕も

紙の筒をいくつも組み合わせて、場合によってはボンドで接着するなど、日ごろ、こうした作業に慣れていない子供は悪戦苦闘。予定時間を大幅に超えながらも、天体望遠鏡を全員完成することができた。

紙の筒を中心にレンズを据え付けるのだが、意外とてこずる様子が各所で見受けられた

なお、この天体望遠鏡、どうせ紙製でしょう、と侮るなかれ。原理は凸レンズと凸レンズを組み合わせたケプラー式屈折式望遠鏡とまったく同じ。ガリレオを冠しているものの、ガリレオ式ではないわけは同方式が高倍率を得にくいためであったからである。

ちなみにケプラー式だと、見える像と実際の像が逆に見えるのだが、望遠鏡完成後、きっちりとその辺の話題として反射式望遠鏡を取り上げ、2枚の凹面鏡を組み合わせた実験器具で、鏡に反射して映った触れそうで触れない像を子供達は体験していた。

2枚の凹面鏡を組み合わせた実験器具も登場