ニューヨークに比べ、ノートPCユーザにやさしいカフェが多いサンフランシスコでも、少しずつ問題が…

先日、ニューヨークでノートPC難民が増えつつあるというニュースを紹介したが、こうした事情や悩みは全国共通のようだ。世界のIT中心地シリコンバレーでは、こうした難民を受け入れつつも、既存の一般客とどのように棲み分けしていくかの試行錯誤が続いている。

前回も紹介したように、サンフランシスコなど西海岸ではカフェでのノートPC使用に関して比較的寛容だ。シリコンバレーも例外ではなく、そういう場所がいろいろあることを筆者は知っている。こうしたシリコンバレーでの最新事情を紹介したのが米NBC Bay Areaのこの記事だ。サンノゼに店舗を構えるBarefoot Coffee Worksでは先日店舗改装を実施し、「本物の陶器カップでカプチーノを楽しめるように」と座席スペースを増やしたという。一方で、ノートPCユーザーのための席は2つの長机のみと、コーヒーメインの客と比べて少なくなっている。またコンセント類もほとんどがふさがれ、店舗内に1つだけ露出するのみだ。ニューヨークのNaidre'sのケースとは違って追い出されこそしないものの、コーヒー1杯5ドルで長時間滞留するような客と一般客とは区別されている。

同店のAndy Newbom氏は「これはシリコンバレーでも盛り上がり始めたばかりの問題だ。たとえばエコノミー料金でビジネスクラスを占領する客が大量に押し掛けた様子を想像してほしい」とコメントしている。とはいえ、どちらも客であることは変わりない。BarefootではきちんとWi-Fiもセットアップし、両者がどうすれば共存できるのかを考えた結果、現在のレイアウトになったようだ。共存という意味では、サンフランシスコのミッション地区を拠点にするRitual Coffee Roastersでは、混雑時にはノートPC客に対して座席を占領せず、必要に応じて席を共有してほしいと注意書きを掲示している。このほか、Wi-Fiそのものに利用制限を課して、商品購入後に一定時間のみ利用を可能にするパスワードを発行するCafe Abirのような事例もある。

一方、サンフランシスコ市内に数店舗展開する老舗のCafe Triesteでは「それほど大きな問題にはなっておらず、両者がうまく共存している」とコメントしている。その背景には、サンフランシスコ自体が比較的成熟した街なので、他のエリアほど若い層が少ないという理由もあるようだ。同カフェの社長兼CEOのFabio Giotta氏は「ニューヨークにはまた別の問題があると思う」とも指摘する。「私は数年前にニューヨークにいたが、そこに(Naidre'sのような)独立系カフェが不足していることに驚かされた。人々はCafe Triesteのような店を渇望している」(Giotta氏)