IDC Japanは8月10日、国内企業436社のWANサービスの利用状況をまとめた「2009年 国内通信サービス市場 企業ユーザーデマンド調査結果」を発表した。同調査の結果、企業の2009年の国内通信関連予算は、2008年比で「減少する」(26.8%)が「増加する」(14.7%)を上回り、景気低迷がネットワーク投資にも影響を及ぼしていることがわかった。
利用メリットがあるWANサービスの付加機能を問う質問では、「一時的なアクセス増加や契約帯域以上のトラフィックを許容するWANサービス」(35.3%)、「中小拠点のネットワーク機器の運用管理を自動化できるWANサービス」(34.6%)の2つについて、それぞれ3割以上の企業が「利用メリットがある」と回答した。一部の通信事業者が2009年7月からこうしたサービスを開始しており、付加機能の提供はWANサービスの差別化につながると同社では見ている。
拠点別の専用線の利用率は、データセンターが(48.5%)が本社(38.9%)を上回っている。データセンターでは、専用線以外にも広域Ethernetなどの大容量で品質・信頼性の高い回線が多く使われているが、この背景には、データセンターへの集約化の流れからその重要性が高まっていることがあると同社では分析している。
基幹ネットワークの冗長化状況は、業種、企業規模で大きく違うことがわかっている。冗長化が最も進んでいる金融業では66.7%が実施しているのに対し、流通業で冗長化を行っている企業は30.4%にとどまっている。企業規模別でも、従業員数1,000人以上の企業の冗長化実施率が55.4%であるのに対し、従業員数100~249人の企業の実施率は16.5%である。この状況から、同社では、「冗長化を訴求することで中長期的にWANサービス市場のさらなる開拓が可能」と予測している。