米VMwareは8月10日(米国東部時間)、オープンソースベースのエンタープライズソリューションベンダ 米SpringSourceとの間で買収合意に至ったことを発表した。買収金額は現金約3億6,200万ドルに加え、約5,800万ドル相当のベストされていないストックオプションとなっている。設立から5年、Java EEを中心とするOSSコミュニティにおいて強い影響力をもつSpringSourceが仮想化市場のリーディングカンパニーに買収されることは、OSS/エンタープライズ業界に大きな波紋を呼びそうだ。

SpringSourceは2004年、米カリフォルニア州サンマテオに設立されたITベンチャー企業。社名にも冠しているJavaアプリケーションフレームワーク"Spring"は、同社が開発元となっている代表的なOSSプロダクトであり、Webアプリ開発プラットフォームとして世界中に多くのユーザをもつ。その他、同社が大きく関わっているOSSプロダクトには、Apache Tomcat、Groovy & Grails、OSGi、Hyperic HQ/IQなどがある。

今回の買収の背景について、VMwareのCEO兼社長 Paul Maritz氏は「いま、まさに現代コンピューティングは、データセンター集約型の仮想化されたクラウド環境に移行しつつある。VMwareとSpringSourceのコンビネーションはこの流れを勢いづかせ、我々を現在のソフトウェア産業ににおいて最も重要な力 - 仮想化、アプリケーションフレームワーク、クラウドコンピューティングが交差するインターセクションに正しく着地させてくれるはずだ」とコメント、クラウド時代を見据えたM&Aであることを明らかにしている。両社は今後、SaaSからPaaSへとユーザのニーズがシフトしていくと予測、エンタープライズアプリケーションの早急なクラウド対応が必要としており、VMwareの「vSphere」をベースとしたソリューションをともに構築していくという。

また、SpringSourceのCEOであるRod Johnson氏はSpringコミュニティに対し、同社のOSSに対する態度は、開発スタイルやライセンスも含め、今後も何ら変わらないと表明しており「Sleep easy(安心して)」と呼びかけている。

本買収はすでにSpringSourceの株主からも支持を得られており、2009年第3四半期には買収を完了させたいとしている。