IDC Japanは8月5日、国内NAS(Network Attached Storage)市場の2008年の実績と、2013年までの市場規模予測を発表した。同発表によると、2008年の国内NAS売上額は277億500万円で前年比0.5%減と、5年ぶりのマイナス成長となった。2008年~2013年の国内NAS売上額の年間平均成長率は6.8%と予測されている。
同社では、NASの主要市場である製造業を中心に、2008年下半期に案件の凍結や延期が増えたことの影響が大きく現れたと分析している。同社は出荷時のシステム単価によって、ハイエンド(システム価格1,000万円以上)、ミッドレンジ(同250万~1,000万円未満)、ローエンド(同50万~250万円未満)、エントリー(同50万円未満)の4つのクラスに分けている。
エントリーNASは、中小規模ユーザーを中心した需要後退の影響を大きく受けており、2年連続で20%を超えるマイナス成長となった。ローエンドNASは本来の市場成長性は高いと見られているが、2008年は景気の影響を受けマイナス成長となった。一方、ミッドレンジNASとハイエンドNASは、前年比プラス成長を達成したが、大手既存ユーザーでのファイルサーバ統合が一巡したことに加え、下半期には景気の影響で更新や新規導入を延期する企業も増えたことで、成長スピードは減速している。すべてのクラスにおいて、下半期の売上額は前年同期比マイナス成長となっている。
今後の成長について、中期的には、NASの用途が従来ブロックベースのストレージを用いていたアプリケーション領域、大容量デジタルコンテンツ向け分散ストレージなどのソリューションにも徐々に広がり、NAS需要を押し上げると、同社では見ている。
また、同社では2008年~2013年の国内ディスクストレージシステム(外付型と内蔵型の合計)の需要容量の年間平均成長率を49.9%と予測しているが、このうちファイルベースの需要容量の年間平均成長率は72.3%と、高い伸びを予測している。2011年には、国内ディスクストレージシステムの需要容量に占めるブロックベースとファイルベースの構成比が逆転し、ファイルデータの増加もNAS需要拡大の促進要因になると、同社では考えている。