欧州委員会(EC)は8月4日(ベルギー時間)、「i2010」として進めてきたデジタル化計画の成果をまとめた報告書「Digital Competitiveness」を発表した。この4年でインターネットや携帯電話の利用者は増加したが、現在でも3人に1人のEU市民が「インターネットを使ったことがない」と回答するなど、問題点も見えた。
i2010は、ECが2005年に承認したデジタル化計画。ICTによる経済活性化、競争力強化などを目指すもので、ブロードバンドの普及やコンテンツなどを必須要素としている。
今回の調査はその成果を測るもの。それによると、「インターネットを定期的に利用する」と回答する人は56%、そのうち80%がブロードバンドを利用(2004年は約3分の1)するなど、結果が出ていることがわかった。ブロードバンドの普及率は、世帯では半分以上、企業では80%を超えているという。携帯電話の加入率は119%と、高い浸透率となった。
中でも、16歳-24歳では「インターネットを利用してコンテンツを作成・共有している」と回答する人が73%となり、全体の平均値35%の倍以上となった。ECは、このような"デジタルネイティブ"に期待するとともに、デジタル経済のチャンスを構築していく必要性を説いている。
調査では同時に、インターネットを使ったことがない人の割合が3人に1人であることや、インターネットショッピングの利用が7%にとどまること、研究開発で米国と日本に遅れをとっていること、デジタルネイティブの多くがコンテンツにお金を払いたくないと考えていることなど、課題も提示している。
インターネットを利用したことがないとした人はその理由として、「必要性を感じない」「利用料金を払えない」などを挙げているという。65歳以上の高齢者や失業者が多くを占めているという。