米軍や航空宇宙局(NASA)などの米国政府システムに不正侵入し、米国司法当局が身柄引き渡しを求めている英国人ハッカー、Gary McKinnon氏に対し、英国の公訴局は7月31日(現地時間)、米国への身柄引き渡しを認める英政府および司法当局の見解を弁護する発表を行った。McKinnon氏は最高司法機関を兼ねる上院に控訴する構えだ。
米国政府は2001年にMcKinnon氏が継続的に行った不正侵入により、コンピュータ2000台に支障が起きるなどの障害があり、英政府に対しMcKinnon氏の身柄引き渡しを求めている。McKinnon氏はアスペルガー症候群と認定されており、行為は英国で行われたことから、英国で裁くよう求めている。米国で裁かれた場合最長70年の禁固刑と200万ドルの罰金支払いが課される可能性があるといわれている。
今回の敗訴は、米国への身柄引き渡しを認める昨年秋の内務大臣の判断と今年2月の公訴局の判断へのレビューの結果。当局は、McKinnon氏は重大な犯罪でとがめられており、米国が送還を要求するのは合法的だとする見解を示している。これに対し、McKinnon氏は上院に控訴する構えだ。
なお、英Sophosが同日、今回のMcKinnon氏への決定についてITプロフェッショナルにアンケートを行ったところ、米国送還に賛成は29%、反対は71%だった。同社が2006年に同じアンケートを行った際は、賛成が48%、反対が52%であり、McKinnon氏への支持が広がったことを示している。