Taiwan Semiconductor Manufacturing(TSMC)の日本法人であるTSMCジャパンは7月31日、都内で記者会見を開催し、同社2009年第2四半期(4~6月)の決算概要を発表した。

2009年第2四半期の決算概要

TSMCジャパン代表取締役社長の小野寺誠氏

これによると、売上高は前年同期日15.8%減となるも、前四半期比では87.9%増となる742億1,000万NTドルとなり、前四半期決算発表時に予測していた710億~740億NTドルの間からは若干の上振れを達成したことをなる。これについて、TSMCジャパン代表取締役社長の小野寺誠氏は、「各主要アプリケーションの在庫調整が終了したほか、新製品の立ち上げの動きが活発化した結果」と評する。

また、業績についても「前2四半期、4割ずつ落ち込んだ業績が一部戻ってきたが、前年同期までには戻ってきていない状態」(同)とし、利益率については「前四半期に比べると急回復を達成。前年同期と比べても遜色ないところまで回復したが、稼働率を考えると前年同期レベルまでには戻ってきていないのがマイナス要因」(同)と語る。

さらに、粗利益率が46.2%となり、当初予測の43.5~45.5%を上回る結果となったほか、営業利益率も33.9%と同予測の30.5~32.5%を上回る結果となった。

2009年第2四半期決算数値の詳細

同四半期のアプリケーション別の売上高と売り上げ比率は、コミュニケーションの売上高は前四半期比100%増となり全体に占める比率は45%となったほか、コンピュータ関連の売上高は同128%増となり全体比率は28%となった。また、コンシューマ関連の売上高は同99%増となり、全体に占める比率は21%となった。

売上に占める各アプリケーションの比率

日本地域に関しては「コンシューマとコミュニケーションが2本の柱として伸びている。ただし、自動車関連も動きを見せており、そういった意味でOthersも伸びてきている」(同)とする。

地域別比率は、北米が65%、アジアが18%、欧州が11%、日本3%、中国3%となっており、IDMとファブレス/システムベンダの比率はIDMが18%、ファブレス/システムベンダが82%となった。これまで、IDMは四半期ベースで20%を超す比率を維持してきていたが、今回20%割れを記録した。これについて、小野寺氏は「IDMの工場自体の稼働率が落ちており、外部に出す量を減らしたことが要因」(同)との見かたを示した。

地域別の売上比率の推移

IDMとファブレス/システムベンダの売上比率推移

プロセス別に占める売り上げ比率は、40nmが1%、65nmが28%、90nmが23%、110/130nmが13%となり、同社がアドバンスドテクノロジーと呼ぶ領域が65%と過半数を占めるまでに成長を果たしている。なお、以降150/180nmが23%、.025/0.35μmが9%、0.5μm以上が3%となっている。

プロセス別の売上比率

特に40nm品については、「前四半期比でウェハの出荷量は3倍強の量を出荷した」(同)としており、第4四半期には、全体の占める割合として「10%程度まで伸びてくるはず」(同)とし、そのための設備投資を進めているとするほか、日本では65nm/40nmといったハイエンド向けプロセスが好調であり、下半期にかけてテープアウトしてくる製品などが相当数出てくることから、売上に占める比率が他地域よりも高くなる可能性が高いことを示唆した。

その設備投資は、当初15億ドル規模を想定していたが、「ここに来てアドバンスドテクノロジーを中心に忙しい状況となってきており、先々についての見通しも立っていることから、設備投資額を800万ドル上増し、23億ドルとする」(同)という。この内、上半期に投入した設備投資額は3億9,000万ドル程度であり、下半期に約19億ドルを一気に投入することとなる。

2009年上半期の設備投資状況

主な設備投資は、「70%が40nmなどの先端プロセスの増強」(同)としており、同社の300mmウェハ対応工場「Fab12」ではフェーズ4として第4棟を立ち上げ、22nmプロセスの開発ラインの設置なども行う予定としているほか、同じく300mmウェハ対応の「Fab14」でもフェーズ3として生産能力の増強を推し進めるとしている。

この背景には、第3四半期のウェハ投入枚数計画があり、Fab12は第2四半期比で2万枚減となる19万9,000枚、Fab14も同1,000枚源の23万7,000枚となっている。これについて小野寺氏は、生産調整やライン変更などの要因ではなく「生産品種が大きく変わるため」(同)としている。つまり、現在牽引している携帯機器向けの製品の配線層数が6~8層程度とすると、それよりも配線層数の多い、違うカテゴリのデバイスが多く生産されることが見込まれることとなり、そうした製品の生産数の要求に応えるためにも設備投資を進めるということのようだ。

TSMCの各種工場のウェハ投入枚数推移と予測

なお、第3四半期の業績見通しとしては、売上高は第2四半期比約20%増となる880億~900億NTドルを見込んでいるほか、粗利益率、営業利益率ともに微増となる46.5~48.5%、35~37%としている。