富士通は7月30日、2009年度(2009年4月~2010年3月)第1四半期(4~6月)の決算概要を発表した。それによると、売上高は前年同期比11.3%減の1兆443億円、営業損益は前年同期の58億円の黒字から371億円の損失となり、経常損益も同84億円の黒字から398億円の損失へ、純損益も同3億円の黒字から291億円の損失へとそれぞれ転落し、純損失は3四半期連続での計上となった。
同社執行役員上席常務(CFO)の加藤和彦氏は同四半期の業績について、「期初の見通しよりは良かった。特に営業損失は500億円程度の損失と見ていたが最終的に371億円の損失となり、市況が改善してきていることを示す結果となった」と語る。
主要セグメント別の業績は、テクノロジーソリューションがテクノロジーソリューションの売上高が富士通テクノロジー・ソリューションズ(FTS)の連結子会社化による効果もあり、前年同期比296億円減の6,682億円となった。「サービス関連の事業は伸びてきているが、ハードウェア関連のビジネスが投資抑制の影響を受けて伸び悩みが続いている」(同)状態であり、海外は6月以降ネットワークの受注が回復基調に入ったものの、国内通信は、LTE本格稼働までの端境期に入っており、苦戦を強いられているという。その結果、営業損益は前年同期235億円減となる153億円の損失となった。
また、ユビキタスプロダクトソリューションは売上高が同340億円減の2,378億円となった。これは、HDDの売り上げ不振を国内では携帯電話としてNTTドコモ向けFOMA端末の好調さと海外のFTSによる欧州向けパソコン販売でカバーした形となっているという。営業利益については、HDDの赤字があったものの、FTSの連結や為替影響による利益増などもあり前年同期34億円減ながら黒字を確保した形となった。
半導体や電子部品関連のデバイスソリューションの売上高は、同534億円減となる1,189億円でFDKを連結子会社化していなければさらに大きな減収となっていたという。また、ロジックLSI関連は、在庫調整が一巡し、デジタル家電などで需要の回復傾向が見えてきたものの自動車向けLSIなどで減収が続いているとしており、営業損益については同108億円減の155億円の損失となった。
同社では、第2四半期の業績について、「携帯電話の買い替え促進や電子部品関連市場が回復してきている」(同)ことを理由に業績予測の上方修正を発表している。これによると、売上高は期初予測の2兆2,000億円から100億円増の2兆2,100億円に、営業損益は500億円の損失から350億円の損失へ、経常利益も600億円の損失から450億円の損失へと赤字幅が縮小されており、純損失も同100億円縮小となる550億円の損失へと変更されている。
これに伴い、通期業績も上方修正されており、売上高は期初予測比200億円増となる4兆8,200億円、営業利益は同100億円増となる900億円、経常利益も同100億円増となる700億円、純利益も同50億円増となる250億円へとそれぞれ引き上げられている。
この背景として加藤氏は、「(連結子会社の)新光電気工業を中心に電子部品の市況回復が進んでいるほか、パソコン、携帯電話ともに繁忙。特に携帯電話はかなりの状況」としており、パソコンも秋口に登場するWindows 7の動き次第では第3四半期以降も繁忙となるほか、8月7日より販売が開始される防水防塵携帯電話「らくらくホン6」などの売れ行き如何によっては「通期業績の上方修正が行われる可能性がある」(同)とする。また、半導体はラインの統廃合が9月より開始されることもあり、「在庫の積み増しなどの関係上、夏季休業を返上しての操業になる可能性がある」(同)とした。