中国やロシアのスパイが、米国の政府ネットワークやインフラ網にサイバー戦争を仕掛けている──こうした冷戦さながらの構図を再現するかのような事件が最近になり頻繁に報告されるようになった。一方で、こうしたサイバー犯罪に対応するだけの人員やスキルが不足していることがたびたび指摘されており、特に若い世代を中心とした人材育成が急務となっている。戦略国際問題研究所(Center for Strategic and International Studies: CSIS)が主催するサイバーセキュリティ対策コンテスト「US Cyber Challenge」は、こうした事態に対応できるエキスパートの卵1万人を発掘するための競技だ。
競技は「CyberPatriot Defense Competition」「DC3 Digital Forensics Challenge」「Netwars Capture-the-Flag Competition」の3部門に分かれており、それぞれ米空軍、米国防省サイバー犯罪センター、SANS Instituteが3部門を受け持っている。主に米国内の学生を対象としており、人材育成と発掘の両面の役割を持つ。また優秀者には奨学金やFBIといった特定機関へのインターンシップや就職も斡旋される仕組みが用意されており、進学でさらに技能を高めたり、現場でさらなるステップアップを目指すことも可能だ。